メディカルトーク 便に血が混ざっている「下血」/内視鏡検査をいつ行うかが最重要

メディカルトーク

症例

50代男性。3日間の便秘の後、腹痛と下血のために来院。痛みは左側に偏っており、血液検査では貧血を認めず。大腸カメラにて、大腸左側の粘膜の傷を認め、「虚血性大腸炎」と診断。治療は、今後の便秘予防のみ。

今回のドクター

奥田雅人医師/ファミリーメディカルプラクティス・ホーチミン市

① 「下血」とは?

“便に血が混じっている”ことです。今回は、健康診断の検便で見つかった出血とか、トイレットペーパーに血がついた、ではなく、ある日トイレが血まみれになった、という場合です。すぐに対処しないと命にかかわるものから、何もしなくて良いものまであります。 実際には「虚血性大腸炎」と「大腸憩室出血」が多いです。

② 虚血性大腸炎

「虚血性大腸炎」の虚血とは、血液が足りないという意味です。便秘のために、大腸の血流に障害が生じ、大腸が傷ついて腹痛と血液混じりの下痢が起こります。特徴は左側の痛みで、傷の程度により、何もしなくて良いものから、手術が必要なものまであります。

③ 大腸憩室出血

「大腸憩室出血」は、壁が薄く、くぼみになっている「憩室」という大腸の部位からの出血です。痛みがないのが特徴で、出血は自然に止まることが多いです。例外として、脳梗塞や心筋梗塞の治療として、血液サラサラ薬を飲んでいる場合、生死にかかわる大出血になることがあります。

④ 下血になったときの対応

「下血」になった場合、大腸カメラができる施設を受診しましょう。「下血」は内視鏡専門医が扱うべき疾患で、大腸カメラでの検査をしないと診断も治療も始まりません。

⑤ 大腸カメラによる診断

血圧・脈拍、貧血、下血の持続などから、入院の必要性と大腸カメラを行う時期を判断します。通常、大腸カメラは下剤を飲んで腸をきれいにしてから行いますが、下血の際にはその場で行うこともできます。原因を探し、出血が続いていれば止血するためです。
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