ベトナムの日本人／宇佐美淳さん／『ベトナムフットボール／ダイジェスト』編集長

かつてJリーグに熱狂した少年が今、夢を託す先。日本人としてベトナムサッカーの発展に貢献したい

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日本人にはまだなじみの薄い、ベトナムのサッカー事情。しかし、2012年にJリーグがVリーグ（ベトナムリーグ）と提携協定を結んだこともあり、ベトナム人有名選手がJリーグクラブに移籍するなど、実は近年、サッカーにおける日本とベトナムの結びつきは強い。そんな両国のサッカーでの繋がりに一役買っているのが、ベトナムを中心にサッカー関連ニュースを報じるウェブサイト『ベトナムフットボールダイジェスト』。その運営・編集を行っているのが、宇佐美淳さんだ。小・中学生の頃にJリーグの発足、1994年W杯“ドーハの悲劇”など日本のサッカー黎明期を経験。自らプレーするよりも観戦に没頭し、大学時代には「観戦のためにイタリアに渡った」こともあるという。大学卒業後、日本語教師の資格を取得し、2004年にベトナムにやってきた。「最初、訪問経験のある台湾か提携校があるベトナムか迷って。でも、ベトナムにはサッカーのプロリーグがあるなと。それが決め手になりましたね」ホーチミン市工科大学などで日本語講師を務める傍ら、午前中は大学に通いベトナム語を学んだ。上達したベトナム語を活かしたいと、ニュースサイト『ベトジョー』に転職。編集・記者の仕事を経験したことが大きな転機になった。「指定のベトナム語のニュースを翻訳してアップしていくなか、自分が興味のあるサッカーやスポーツの記事をこっそり足していたんです（笑）。1年ほど続けていたら、ある日読者から“サッカーだけ独立したサイトが欲しい”といった内容のメールが届き、それがきっかけで姉妹サイトとして『ベトナムフットボールダイジェスト』は生まれました」サイトの立ち上げから約4年。ベトナムサッカーに特化した唯一の日本語サイトということで、各方面からの注目度は高い。「Jリーグや日本サッカー協会から選手について詳しく知りたいなど、連絡がくるようになりました。コツコツ続けてきた結果ですね」取材や記事の執筆など、基本的に情報の更新は宇佐美さん1人で行っている。「PV数が思うように伸びない時など、辞めたいと思う事も。目に見える効果や反響がすぐに出るものではないので」それでも、続けることに意味があるという。「今ここで辞めてしまったら、最近ようやく成果が出てきた日本とベトナム間のよい流れを停滞させてしまう。そこは責任を感じます」と気恥かしそうに語った。「2015年に男女共に代表監督に日本人が就任した時、一気に日本とベトナムの距離が縮まったと感じました。今ベトナムで活躍する日本人選手は1人ですが、増えていけばおのずと日本人がベトナムのサッカーに興味を持ってくれるようになるのかなと」今ベトナムではゴールデンエイジと呼ばれる、若手のスター選手たちが人気で、試合は非常に盛り上がるという。「2017年1月8日からはVリーグも始まるので、実際にスタジアムに足を運んで観戦してもらえたら」と、少年のように目を輝かせてほほ笑んだ。