ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説12月号

水力発電所の放流、 首相が商工業省に調査指示

2016年10月中旬の大雨で発生した北中部における洪水で、人命や財産に大きな被害が出た。水力発電所の放流が事前通知されなかったという指摘に首相は、問題のハーティン(Ha Tinh)省の水力発電所を含む各ダムの放流について調査し、責任の所在を明らかにするよう商工業省に指示した。 (『VnExpress』2016年10月17日、『ベトナム政府ウェブサイト』2016年10月18日)
解説 ベトナムで多い自然災害は、台風、大雨、干ばつです。台風は毎年数個上陸し、主に北部や中部が被害を受けます。2016年8月に北部を襲った「ミリネ」は、もともとハイフォン市―クアンニン(Quang Ninh)省が予想進路でしたが、実際は少し南に進み、予報の正確性に対する批判も起きました。 ホーチミン市など南部では、主に9月から旧正月までに生じる「高潮」の問題があり、大雨と重なって毎年広い範囲で洪水になります。メコンデルタでは2016年初め、過去100年 で最悪とされる干ばつも起きました。この地域は中国に源を発するメコン川がもたらす豊潤な穀倉地帯ですが、その上流でのダム建設も大きな懸念事項です。 対策として直近では、政府は水や土地、海、気象、環境などの基本情報を収集し、災害や環境汚染を予想・防止する観測網の整備計画を策定、ホーチミン市も水門建設などを含む大規模な高潮対策に取り組んでいます。ベトナム社会・経済の今後の発展は「水」の問題への対応が鍵になると言えるかもしれません。

ベトナムの牛乳消費量は 1人当たり年間15L

「ベトナム乳業協会」によると、全国の生乳生産量は5億5000万L、うち4億5000万Lが牛乳生産に、残りがヨーグルト生産に用いられている。一方で、市場供給されている牛乳は9億1400万Lあり、生乳は市場ニーズの半分しか満たしていない。 ベトナム人の1人当たりの牛乳消費量は年間15Lと近隣諸国より少なく、ニーズは今後拡大する見込みだ。 (『Cong Thuong』2016年9月12日、p.08)
解説 商工業省によると1990年の1人当たりの牛乳消費量は年0.5L程度で、現在は約30倍に増えていることになります。それでもシンガポール(45L)の3分の1とまだ少なく、この一因としてある専門家は、「子どもの栄養食品」という考え方が強いと指摘しています。 ただし、消費量が少ないということは伸び代が大きいということでもあり、市場調査会社「ユーロモニター・インターナショナル/Euromonitor International」によると、消費は年9%伸びていき、2020年には約28L に達する見通しです。商工業省の乳業開発計画では、2025年の1人当たりの年間消費量34Lという目標が示されています。 ベトナムでは砂糖入りの牛乳が主流で、びっくりした在住者も少なくないと思います。ただ最近では、牛乳だけでなくヨーグルトや豆乳でも、砂糖控え目、ノンシュガー、低脂肪、カルシウム増強、オーガニックなど様々なタイプが増えています。国内の健康志向の高まりもあり、今後はこういった体に良い点をアピールした製品が増えていくと考えられます。
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