人との関わりを避けて生きてきた私が、周りに支えられている。
真っ白なハートでメイド修行を絶賛継続中!
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「出身はキラキラ☆すわろふすきー星です。イタいですよね。でも皆さん徐々に受け入れてくださいます」。
秋葉原の大手メイドカフェのトップメンバーとして、CDリリースほか、遊技機やソーシャルゲームのキャラクターにもなったともさん。インターナショナル担当メイドとして、海外からの来客や取材対応もこなし、「世界とのつながりを感じた」という彼女は、実際に2年半ほど前からホーチミン市という異国での生活を始めた。「友人の勧めで何の予備知識もなく飛び込んだ分、ピュアにメイド文化を吸収できた」と語る秋葉原時代と同様、“真っ白な心”で足を踏み入れた国。「最初は辛かったですね」と、環境の違いに悩んだが、在住日本人によるコスプレバンドに誘われたのが、ターニングポイントとなった。
「『なんでもやる』が私の座右の銘なんです。不器用で、引っ込み思案で、人見知りで、気にし過ぎで、とにかく何もできない人間なので、いただいたチャンスは空回りでもいいから全力でやろうと」。
ファンはベトナムの若者たち。これまで「マンガフェスティバル/Manga Festival」や大学の学園祭などに出演し、ライヴでの盛り上がり方を知らない彼らを、バンドの先頭に立って「煽る」のがキーボード兼ダンスを務めるともさんの役どころだ。近頃では、独特な動きとかけ声で会場を盛り上げる、「ヲタ芸」チームも結成されたのだとか。
そんな中で驚かされたのは、人と人との距離感だという。
「演奏中に突然舞台に上がって写メを撮る人がいたり、無言で体に触ってくる人がいたりして、最初は怖かった。でも、この“近さ”がベトナムならではとも思うんです」。
距離感の近さは、ベトナムに生きる日本人から強く感じることでもある。
「自信がないから、人との関わりを避けて生きてきました。でも、自分も苦しいのに手を差し伸べてくれる日本人がいる。一人じゃ生きていけないことを、より実感しています」。
日本人同士の縁をきっかけに声がかかったのが、モーターサイクルショーのモデルだ。
「メイド服で切り込みました! バイクとメイドのコラボは相当ギャップがあったみたいで」と語るように、注目度が高く、担当企業のフェイスブックページで、彼女の写真が最多の「いいね!」を獲得するなど好評を博した。ちなみに、バンド活動にも可能な限りメイド服で参加している。
ともさんにとって、「人生はすなわちメイド修行」。メイド服は人生の正装だ。メイドファッションに興味を示すベトナムの若者が現われ、ともさんが日越菓子メーカーのコラボ商品のパッケージモデルに起用された。この国でメイド文化が日本を象徴するアイコンとして認知されてきたのだろうか。
「商品に対してではなく、形のないサービスや世界観にお金を払っていただくメイドカフェは、まだベトナムで一般的に受け入れられるのは難しいかもしれません。その分、日本以上に勉強が経済的な豊かさにつながる国なので、私を見て日本に興味を持った人が日本語を勉強し、将来の豊かさの小さなきっかけにしてくれたら嬉しいですね」。
ここでのメイド修行はまだまだ続きそうだ。
とも
2008年より秋葉原の「@ほぉ〜むカフェ」に所属し、2012年から在籍200人中約5%のプレミアムメイドとして活躍。2013年にホーチミン市へ。コスプレバンド「L.C.L」に参加するほか、菓子メーカー「ニャットアイン/Nhat Anh」社の商品イメージキャラクターなどを務める。