ベトナムふしぎ発見！／ベトナム人も知らない！ 市街地にある19世紀後半の墓／File No.006

タオダン公園内に「ラム家の墓」

ホーチミン市１区チュオンディン（Trương Định）通りが通るタオダン（Tao Đàn）公園に、1785年（一説に1895年）に建てられたとされる白と赤色の大きな墓があるのをご存知だろうか。1mほどの高さの厚い外壁が墓を囲み、入口は低く作られ必ずお辞儀をして入るようになっている。この構造と工夫は、15～20世紀の華人貴族の一般的な墓の形だ。家をかたどった墓は、調査の結果、広東出身のラム・タム・ラン（Lâm Tam Lang／林三郎）と妻マイ・ティ・サー（Mai Thị Xã）の夫婦墓だと断定された。2014年4月にホーチミン市人民委員会が歴史的価値のある建築遺産だと公認したことで、やっとこの墓の存在が知られることとなった。

５代目が墓守に貝屋を営むチャンフンダオ通り520番の大きな墓

玄関前に看板が１つもなく、寺院に間違われることの多いペトリュス・チュオン・ヴィン・キー（Pétrus Trương Vĩnh Ký、1837〜1889年）の墓。2７言語に精通し、19世紀の18賢人の１人とされた著名な作家だ。全2000㎡の敷地の中央に建てられた同氏が妻子と共に眠る墓は、フランスと東洋がミックスした美しい建物だ。 隣には、1937年に建てられた木造建築の古い民家と50基の親族の墓もある。現在、この家には５代目になる孫が墓守として住みながら、生活のためにここでカフエや貝屋を営んでおり、「墓の貝／Ốc Cổ Mộ」と呼ばれている。