ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説10月号

VND1%追加切り下げ、変動幅は±3%に

国家銀行は2015年8月19日(水)、ベトナムドンの対米ドル基準レートを1%切り下げ、8月12日(水)に±2%に拡大していた銀行の許容変動幅を±3%に拡大した。 基準レートはこれまでの1USD=2万1673VNDから2万1890VNDに変更され、±3%の変動幅で各銀行が設定できるレートは2万1233~2万2547VNDとなる。 (『Thoi Bao Kinh Te Sai Gon Online』2015年8月19日)
解説 2015年8月11日(火)、中国が突如として、人民元を1.9%切り下げました。これによるマイナスの影響を抑えるべく、ベトナム国家銀行は翌日、商業銀行が設定できる為替レートの許容変動幅を、これまでの±1%から±2%に拡大しました。 この時「切り下げ」ではなく「許容変動幅」を拡大することで実質的な切り下げを行ったのは、ベトナムは通常1年間の切り下げ予定値を設定しており、2015年は「2%」となっていたのですが、この切り下げを5月に行ってしまっていたためと考えられます。 しかしながらその後中国が13日(木)までに計4.5%の切り下げを進めたことなどから、国家銀行は19日(水)に1%の切り下げと、さらに1%の変動幅拡大に踏み切りました。 これらの措置について国家銀行は「人民元切り下げと米国の利上げ観測に対応するためで、ドン相場は年末、さらには2016年初めまで内外市場の不利な動きに柔軟性を保ちつつ、外為市場を安定させ、ベトナム製品の競争力が確保できる」と説明しています。 国家銀行の対策について多くの専門家は、ベトナム経済へのマイナス影響を回避するための迅速かつ適切なものと評価しています。また、グエン・タン・ズン(Nguyen Tan Dung)首相も25日(火)に開いた緊急会議で、現在の状況は、2015年の経済社会開発目標を調整するまでには至っていないと判断しています。

ベトナムの農業開発で日越企業が対話

農業投資に関心を持つ日本とベトナムの企業が協力関係を構築し、投資機会を探り経験を共有する日越農業協力対話が2015年8月12日(水)、ハノイで開かれた。 両国有数の企業が投資協力について意見交換したほか、ベトナムの多数の地方が潜在力や強み、投資機会を日本企業に紹介した。 (『VietnamPlus』2015年8月12日)
解説 安全性に不安がある中国産からの切り替え先として、世界的に大きなシェアを持つ農産品が多い農業国ベトナムに対し、ここ数年日本企業の関心が高まっています。ベトナム国内でも安全な農産品に対する関心が高まっており、この需要を狙った日本企業の投資も進んでいます。 投資例は様々ですが、投資先として特に注目されているのが中部高原のダラット(Da Lat)で、長野県川上村の手法による高品質なレタス栽培が行われていることが知られています。このほか野菜を安全に安定して生産する「野菜工場」事業も、日本企業により全国で複数進められています。 日本の自治体もベトナムとの農業協力に関心を示しており、2014年に茨城県はベトナム政府と農業分野の技術向上や人材育成などで協力する覚書を締結しています。

2017年までに中部7省市で津波警報施設を281ヶ所整備

クアンガイ(Quang Ngai)省は、農業農村開発省が承認した津波監視・警報システム詳細計画に則り、津波監視・警報施設を40ヶ所整備する。 このほか同計画では、第1期(2015~2017年)に危険度の高い中部沿岸6省市で241ヶ所、第2期(2018~2019年)に中部~東南部沿岸6省で251ヶ所を整備することになっている。 (『Thanh Nien』2015年8月9日、p.02)
解説 長い海岸線を持つベトナムですが、科学者はベトナム近海で津波が発生する可能性は高くないとしています。 ただ発生すれば、中部のダナンからクアンガイ省にかけて深刻な被害が予想され、資源環境省は、マニラ海溝でマグニチュード8.3の地震が発生すれば、クアンガイ省で6.2m、カインホア(Khanh Hoa)省ニャチャン(Nha Trang)で2.1mの津波が起こりうるとしています。過去には、1904年にトゥアティエン・フエ(Thua Thien-Hue)省沿岸、1930年にナムディン(Nam Dinh)省、1964年にダナンで津波が発生したという資料もあります。実は、これらの明確な証拠はないのですが、近年は津波警報施設の整備計画など対策が進められており、沿岸各省では数千人規模の津波防災訓練も行われています。 原子力発電所の建設が予定されているニントゥアン(Ninh Thuan)省について専門家は、地震が起きることが少なく、津波が発生する可能性はほぼないとしていましたが、東日本大震災の教訓を受け、安全性確保のためより内陸側へと移すことになりました。
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