人生相談29屋にきけ！ フォ!!!! ／第10回

29屋（にくや） 食材＆弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「愛と勇気とほんの少しのお金」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム暮らしのさまざまな悩みをバッサリ解決（！？）します！

Q.「貸したほうがよかったのかなぁ？　バクチ好きと噂の友人からの借金申し込みを断って、クヨクヨ中」

29屋さん、はじめまして。先日、とある飲み友達から「月末に返すので数百ドル用立ててほしい」と頼まれました。出張で来た彼のお客さんのお金を個人的に立替えて、少々懐が苦しいとのこと。一瞬、貸そうかなと思ったのですが、別の知人から「最近彼がカジノにハマっていろんな人からお金を借りている」と聞いていたので、結局「俺も今、余裕ない。ゴメン」と断ってしまいました。しかし、もし、本当に彼が困っていたなら？　と考え、少し後悔中です。どうすればよかったのでしょうか？

A.「俺が呑みに行く金はあるけど、おまえに貸す金はないよ」でOK！

よく「金を貸すなら、返ってこなくても惜しくない金額にするべし」とか、言う人がいますが、正直、ほとんどの人にとって、数百ドルが「惜しくない」ほどの相手なんて、よっぽどの大親友か親族レベルではないでしょうか? たとえば、貴男が、そのお友達がカジノで大勝した時、お寿司か何かをおごってもらったのに、そんな対応をしたのであれば、確かに度量が小さなケチ臭い男と思われても仕方ありません。 でもそうじゃないなら、貴男の小遣いや時間は、貴男自身が納得することに使うべきです。本当に困っているかどうかなんて誰にも分かるはずはないし、銀行でも慈善事業でもない、ただの飲み友達が用立ててあげなければいけない義理も義務もありませんので、別に気に病まなくてもいいと、私は思います。

「賀銭、万」と。実は一銭を持たず。

漢の高祖劉邦が貧乏なゴロツキだった頃。ある名士を祝う会の進物に見栄を張って「俺、一万銭出すぞ！」と、持ってもいない金でイイカッコをしようとして、たまたまその会をしきっていた友達が「すんません。こいつホラ吹きなんでマジにとらないでください」と取り成してもらった話があります。 自分の見栄、快楽、利益のために、嘘ついたり手前勝手な理屈をつけたりする人間に、どこまで付き合うか。たとえ、借金の理由が、仕事で必要だとか、急病だとか、彼女の誕生日プレゼントだとか、本人にとっては深刻な事情があるにしても、基本的には自分のお金の面倒は自分で見るべきなのが、海外暮らしのエチケットです。野放図でいい加減なキャラと、ぬるいテンションで、なあなあ＆まあまあの付き合いをするのも自己責任です。 それが友情だと割り切るか、将来のビッグリターンに期待するかは、貴男の器量と懐具合次第。ガッツ!

【今月の言葉】　「我々の一切の悪は、独りでいることができないところから生じる。そこから賭け事、奢侈、放蕩、酒、女、無知、悪口、羨望、自立と神の忘却などが生じる」　ＢＹ　ラ・ブリュイエール