人生相談29屋にきけ！ フォ!!!! ／第03回

29屋（にくや） 食材＆弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「愛と勇気とほんの少しのお金」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム暮らしのさまざまな悩みをバッサリ解決（！？）します！

Q.「元ベトナム駐在の彼氏が『復帰』を夢見てます」

29屋さん、こんにちは。先日、遠距離恋愛中の元ベトナム駐在員の私の彼（28歳）が、帰任後久しぶりにベトナムに来て一緒に過ごしたのですが、どうも元気がありません。聞くと、仕事もプライベートも楽しかったベトナムでの暮らしと比べて、地方の小さな町での生活が退屈で、「できることなら、独立起業。最悪、現地採用でもいいから、ベトナムに戻ってきたい」という気持ちが日増しに強くなっているそうなのです。どうすればよいのでしょうか？

A.「迷ってるなら、やらせちゃダメ。やるなら、甘やかしちゃダメ！」 自分の人生は自分の物。「挑戦する自由」と引換になるモノは？

古き良きニッポンの終身雇用システムが崩壊して久しい今日この頃。転職も独立も当たり前のご時世で、ましてや成長著しいベトナムの熱気の中で暮らした後とあっては、彼氏の心に炎が燃残るも、やむを得ません。 「枳棘叢中鸞鳳の棲むところに非ず（ききょくそうちゅうらんぽうのすむところにあらず）」。いばらやカラタチ、雑草の草むらには大きな鳥は棲まない、という古言の如く。たとえ、故国での安定した生活を捨てたとしても、何か新しいことに自分の人生を賭けてみたい。そう考えた若者が、戦前は満州。戦後はアメリカ。そして21世紀のアジアに飛び出していくのは、男として、至極当然の感情なのです。 ただし、そのときに手に入れる「自由」とは、いつ果てるともない「戦い」の中に身を置き、負けたら最後。親戚縁者からも見放された上での野垂れ死にが待っているかもしれません。

周りに甘えすぎるなかれ。 周りは甘やかすなかれ

それでも彼氏が「ベトナムに戻ってきたい」と言えば、恋人である貴女や、周囲の飲み友達は「おー、いいじゃん！　帰ってきなよ！　また遊ぼうよ！」と、言うかもしれません。 しかし、海外生活の楽しさは、金銭的な自立によってのみ、味わう権利が生まれます。きちんとした仕事に就いた上でベトナムに来て、おのれの身の丈に合った生活を送る覚悟があるならまだしも、「とにかくベトナムに戻って『パーティーの続き』をやりたい！」というのでは、ただの現実逃避。キリギリスか杜子春レベルの阿呆です。どこで生き、誰と戦い、何を耐えるのか。男が生きる場所に「完全」がなくとも、彼氏が、どの「不完全」を選ぶかを、ガッツで見守ってあげてください。

【今月の言葉】「死ぬつもりか、それはいけない。どうしても死にたいのなら、一年後にしてごらん。一年も経てば、すべてが変わってくる。人間にとって時のながれほど強い味方はないものだ」by長谷川平蔵