ベトナムの日本人/新村実智さん/「グッドライフ」代表

高校教師を辞めて、単身でベトナムへ。 徹底的な管理で世界にベトナム産ドラゴンフルーツを届ける

japan201411_00 「主人に相談したときに『人生1度きりなのだからやってみたら』と、後押ししてくれました。理解ある主人と子ども達に感謝していますが、家族と離れて暮らすのは、やはり寂しいですね」と話すのは、「グッドライフ」代表の新村実智さん。会社設立のために単身でベトナムへ。来越する前まで、高校で数学を教えていた。そんな彼女は今、ドラゴンフルーツなどのベトナムフルーツを輸出する事業を展開。 「ドラゴンフルーツはゴツゴツした見た目のわりに、それほど主張しないあっさりとした味わいで、ギャップがありますよね(笑)」。 正式名称「ヒロセレウス・ウンダーツス」。果皮に三角形の突起のような葉が、龍のウロコのように見えることから、通称「ドラゴンフルーツ(火龍果)」と呼ばれている。カリウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富で、世界中から注目されている健康フルーツだ。日本への輸出が解禁されたのは2009 年で、条件付き生果物を日本へ輸出することは、実に厳しいようだ。 「ドラゴンフルーツは年間約1500 tを輸出しています。日本や韓国、中国、ニュージーランドなど各国に送っていますが、国によって検疫基準が違います。日本や韓国は特に厳しく、検疫官が3ヶ月から4ヶ月交代で弊社の工場に在中しています」。 ドラゴンフルーツの産地として名高いロンアン(Long An)省や、ビントゥアン(Binh Thuan)省に契約農園を持ち、収穫してすぐ、ベトナム政府管轄の農業最先端技術指定公園内にある自社工場へ運ばれる。洗浄後、全過程コンピューター制御で蒸熱処理装置(VHT)を通して消毒処理を行っている。 「蒸熱処理は蒸熱処理装置を使って、蒸気で生果実の品質を劣化することなく完全な消毒ができます。一定の上昇率で生果実の中心温度を摂氏46・5℃になるまで上げ、その温度のまま40分間保持することで、ミカンコミバエなどを殺虫できます」。 その後、大型冷蔵庫で24時間冷やし、梱包。冷蔵コンテナで各国へスピーディーに輸出されていく。「初めての出荷の時は感動しました。でもね…」と口を開くと、恥ずかしそうに教えてくれた。「今は1出荷の梱包作業は3時間でできますが、初出荷の時は、その何倍もの時間がかかりました」。 その時の経験を通して、ベトナム人の気質を新村さんなりに気づき、出荷方法を変えたという。「1人1つの工程を任せ、その工程のプロフェッショナルなってもらおうと。ベトナム人はとっても手先が器用ですから、作業に慣れることでスピードが増してきます。そして、出来高制にしたところ、『私に話しかけるな』と言わんばかりに、みんな黙々と作業しているんですよ(笑)」。 「いつも助けてくれるのは、ベトナム人のスタッフたち」と、感謝の気持ちでいっぱいという新村さんは、スタッフをまとめ、年末からベトナム産バナナの日本初上陸に向けて、今日も忙しい日々を送っている。
新村実智 にいむらみち 神奈川県横浜市出身。幼少期、タイで過ごす。教職課程を取得し、大学卒業後、教員になる予定だったが、一般企業での勤務を経験すべく、(株)東芝の総合研究所に8 年勤務。その後、高校の数学教師に。「Good Life」共同創業のため、2011年に来越。ベトナム産ドラゴンフルーツ、バナナ、マンゴーを世界中に輸出する事業を行う。 ウエブサイト:www.goodlife-jp.com
関連記事
Related Articles
ベトナムの日本人/中川秀彦さん/越日専門学校創立者
2013.09.21

ベトナムの日本人/中川秀彦さん/越日専門学校創立者