ベトナムの今がよくわかる /ベトナムニュース解説 8月号

日本の工事現場で働くベトナム人1000人を育成

ハティン(Ha Tinh)産業開発・建設商業社(Haindeco)と野原産業社は、ビンズオン(Binh Duong)省のドンアン(Dong An)技術専門学校で、内装分野で働く実習生向けの職業育成講座を開講した。両社の日本向け内装・建設労働者1000人への育成・提供協力の一環で、4ヶ月の育成を経て日本に渡り、2020年に開催の東京五輪で使用されるスポーツ施設や各工場で働く。 (『Nguoi Lao Dong』2014年7月2日、p.06 /『Phap Luat』7月2日、p.02)
解説 ベトナムの五輪初参加は、南北統一前の1952年大会。最近のロンドン大会では、選手団18人(女性12人)が参加していますが、体操や射撃、柔道など、国内で人気の低い競技が中心で、これまでのメダル獲得も銀2つ(テコンドー、重量挙げ)のみと、まだまだ世界に及ばないこともあり、国民の関心はかなり低いようです。五輪とのかかわり、そして期待は競技よりもむしろ目の前の労働力、これがベトナムの現実でしょう。 さて経済発展とともにスポーツ国際大会の誘致も増えるもので、ベトナムもアジアを中心に積極的に動いており、“アジアの五輪”とも呼ばれる2019年アジア大会(ASIAD)は、開催地がいったんハノイに決まりました。しかし、施設整備計画の不透明さなどから開催を辞退するハプニングがありました。 アジア大会すら開催できない状況で、飛躍しすぎかもしれませんが、ベトナムでもいずれ五輪を、という話が出てくるかもしれません。さて将来そんな話になったとして、立候補する都市は、首都ハノイになるでしょうか、経済都市ホーチミン市になるでしょうか。

ドライバーの薬物使用、検査は十分か

道路総局によると、自動車運送事業のドライバー12万7000人余りのうち、400人余りで麻薬の陽性反応が確認された。 企業が実施した健康診断で明らかになったものだが、一部地方では、監視もなく会社まかせで、多くの麻薬中毒者が見逃された可能性がある。他人に血液検査等を頼むことも考えられるなど、規定条件が揃った医療機関で健康診断が行われていても、見逃しがないとは言い切れない。 (『Lao Dong』2014年6月19日、p.01)
解説 長距離トラックなど自動車運送業のドライバーの薬物使用は、以前からメディアでも度々指摘されるなど、問題となっていました。 薬物を使用する理由として“眠気覚まし”などがあるようですが、薬物が原因と見られる交通事故も多数発生しています。ただ薬物と結論付けるのは難しいようで、居眠りや速度違反などで処理されることがほとんどだったようです。こういった状況もあり交通運輸省は2014年に入り、運送業に関わる全てのドライバーを対象に健康診断を実施し、問題があれば絶対に運転させないよう各社に求めています。 ですが、薬物検査を含む健康診断は事前に知らされるため、健康診断書を購入するなどしてやり過ごす人もいるようです。また交通規則では、「“道路を走行中に”薬物反応が確認されれば24ヶ月の“免停”」とあるのですが、医療機関での検査で判明しても、この処罰が適用されないという問題が指摘されています。そのため検査は抜き打ちで、という声が多く出ています。

IT人材、2020年に40万人不足

情報通信省IT局によると、現在のベトナムのIT人材数は非常に限られている。2020年までにIT人材需要は60万人に達するが、現在は大学400校のうち、3分の2しかこの分野の育成をしておらず、需要の60%余りしか対応できていない。 IT業界の発展速度から、2020年にIT人材40万人が不足する見通し。 (『Sai Gon Giai Phong』2014年6月7日、p.07)
解説 日本のIT・ソフトウェア関連企業の進出が相次ぐなど、近年オフショア開発先として注目されているベトナム。情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2013」オフショア動向調査によると、ベトナムは日本のオフショア開発直接発注先として、中国に続き、インドと並ぶ2位につけています。親日国で若い人材が多く、低廉な人件費で、開発コストを抑えられるメリットがある一方で、日系・地場企業とも、日本語ができる優秀な人材の確保に苦労しているようです。 現地誌によると、日本向けソフトウェア開発企業の多くが、ブリッジシステムエンジニア(SE)の採用で困難を抱えています。日本語を理解できるSEが非常に少ないためで、対策として、自社で日本語教育をしたり、学費を支援したりするなど採用後の育成に努めたり、他社から高給でヘッドハンティングしたりする企業もあるようです。日本企業では、進出に備え日本で事前に研修させるところもあります。 一方で、同分野の大学入試では合格点が下がるなど、学生のレベル低下を懸念する声もあり、一部大学は企業を招き講座を開くなど、将来を見据えた取り組みを行っているようです。
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