ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 6月号

ベトナムニュース解説企業支援、税減免などの 景気対策を実施

政府は2012年5月10日(木)、事業活動の困難を解消する、29兆VND(約1132億8130万円)規模の対策に関する決議13/NQ-CP号を公告した。 中小企業や、農林水産業、繊維製品、皮革・履物等の分野において、労働者を大量に雇用する企業の4~6月の付加価値税納付期限を6ヶ月延長。商業・サービス業の一部企業に対しては、2012年納付分の土地賃貸料を50%減額する。 財務大臣が、中小企業や大量雇用企業の2012年事業所得税の30%減税、労働者向けの下宿経営者に対する付加価値税、個人所得税、事業所得税の免税などについて国会の承認を仰ぐ。 (『Tuoi Tre』2012年5月12日、p.02)

解説

2008年の世界同時不況の影響から、7~8%の成長を続けていたベトナム経済は、2008年6.3%、2009年5.3%と成長が鈍化。不動産や証券が冷え込み、輸出にも逆風が吹きました。 2009年の大規模な景気対策で2010年には経済成長率が6.8%まで回復。一方でインフレの加速が止まらず、政府は2011年初頭に経済安定・インフレ抑制方針を強く打ち出し、金融引締めにより金利は上昇、公共投資も削減されました。 2011年は、銀行の貸出金利が年20%を超えて企業の資金繰りは悪化、消費も鈍り、近年は前年比2桁の実質成長をしていた小売の売上も1桁(4.7%増)に落ち込みました。経済成長率も5.9%に下がっています。 2012年も企業の苦境は続き、年初4ヶ月の鉱工業生産指数(IIP)は前年同期比4.3%増にとどまっています。計画投資省、ベトナム商工会議所(VCCI)によると、同期の新規設立企業数は前年同期比10%減、これに対し解散・活動停止企業は10%増。活動を停止した企業は卸・小売が最も多く、建設、製造と続いています。

食品安全法の施行細則政令を公告

政府は2012年4月25日(水)、食品安全法の一部施行細則を規定した政令38/2012/ND-CP号を公告した。6月11日(月)に発効する。 政令によると、ベトナムに輸入される全ての食品、食品原料、食品添加物などは、国家検査機関での検査が義務付けられるが、▽個人の消費のために手荷物として持ち込まれる免税範囲内の食品、▽保税倉庫に入る食品、▽展示会に出展するサンプル食品などは、検査が免除される。 包装済み食品は、ラベル記載の法律規定に従う。種類によって、この規定のほかにも、商品の本質を正しく反映した、正確かつ明確なラベル記載が強制され、利用者の誤解を招いてはならない。 また、遺伝子組み替えの割合が5%を超える商品は、ラベルに情報を明記しなければならない (ベトナム政府ウェブサイト 2012年4月25日、『Tuoi Tre』4月26日、p.03)

解説

2011年7月1日(金)に発効した食品安全法は、食品安全確保における個人・組織の権限や義務、食品を生産・販売、輸出入する際の安全確保条件、食品広告やラベル表示、食品検査などについて規定しています。 有害物質の含有、不衛生、出所不明…。ベトナムでは食の安全を脅かす問題が後を絶ちません。2012年に入ってからも、豚肉の赤身を増す薬の使用や、鶏やアヒルに水を注入して、重量を水増ししていた現場が摘発されています。飲み物に入れる氷が、ゴミに囲まれた不衛生な場所で生産されているケースもあるようです。 路上屋台などを含め飲食店では、最近はビニール手袋をして食材を扱う例も増えていますが、虫や髪の毛が入っていることもよくあります。食品生産・加工施設や飲食店は、食品安全衛生講習を受けなければなりませんが、規定講習時間の短縮や、テストを受けなくても証明書が発行されるなど、その実態はかなりずさんなようです。

母乳で育てられる子どもは10%

国連児童基金(UNICEF)によると、東アジアでは母乳で子育てする女性が大幅に減っている。母乳で子育てをする割合は、ベトナムは10%、中国は28%、タイは5%。 女性の社会参加が増え、産後間もなく働かなくてはならず、母乳を与える機会が少ないことが要因とされる。 (『Tuoi Tre』2012年5月3日、p.09)

解説

ベトナムでは、国産粉ミルクの方がかなり安いにもかかわらず、「外国好き」もあって、輸入粉ミルクが大変好まれています。2010年時点の資料では、粉ミルクの市場シェアの85%あまりを外国企業が握っています。 12ヶ月未満の乳児向けミルクの広告は禁止、12~24ヶ月の幼児向けミルクの広告には、「子どもの健康と発育には母乳が最適」という文言を含めなければならないと規定するなど、政府は母乳育児を呼びかけていますが、大きな変化がないのが現状です。 なおベトナムでは、基本的に産休期間が4ヶ月となっており、これを延ばすべきという声も上がっています。
情報提供:「ベトナム最新情報」 TOHO CO., LTD. 日系進出企業向けのビジネスニュースを週6回配信。開始から13年、250社超の企業が定期購読。 www.toho.com
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