ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 5月号

ベトナム航空、9月にもIPO

交通運輸省によると、2014年第1四半期に同省系総公社9社で新規株式公開(IPO)を終えた。   ベトナム航空に関しては、すでに株式会社化に向けた企業価値算定結果を首相報告しており、9月にもIPOを実施する計画。   同省は、船舶工業総公社(SBIC)、海運総公社(Vinalines)、空港総公社、高速道路開発投資総公社(VEC)、クーロン(Cuu Long)交通インフラプロジェクト投資開発・管理総公社(CIPM)の株式会社化計画をまとめる指導委員会を設置している。 (『Thoi Bao Kinh Te Viet Nam』2014年4月3日、p.03)
解説 社会主義国であるベトナムではこれまで、主要産業で国営企業が大きな存在を示していましたが、非効率・不透明な経営や組織の肥大化、中核事業以外への投資などによる赤字の垂れ流し、市場独占に対する批判や競争力低下などを背景に、早急な改革が求められていました。   企業法が公布され、世界貿易機関(WTO)加盟を控えた2003~2006年には数千社が株式会社化され、1990年代初頭に1万2000社あまりあった国営企業は、2012年はじめまでに3265社に減少。株式会社化後は概ね良好に成長し、効果的な経営ができているようです。   ただ、世界的な不況の煽りを受けた経済伸び悩みや証券市場の低迷などを背景に、2008年以降は株式会社化の実行ペースが落ちていました。経済が持ち直しつつあるなかで、改革を加速するために政府は、株式会社化を断行する方針を改めて打ち出し、計画通り実行できなければ「トップはクビ」として、各社に促しています。政府は2014~2015年末にさらに432社を株式会社化する予定です。

外国人に対するVAT還付拡大へダナン、カムランでも

財務省の通達草案によると、現在ハノイ・ノイバイ(Noi Bai)、ホーチミン市・タンソンニャット(Tan Son Nhat)国際空港で行われている、出国時の外国人に対する付加価値税(VAT)還付は試験期間を終え、2014年7月1日(火)から範囲を広げて展開する。   外国人、海外在住ベトナム人で、ベトナムで商品を購入し出国時に持ち出す場合、VATを還付。前出の空港のほか、ダナン、カムラン(Cam Ranh)空港、国際海港でも実施する。 (『Phap Luat』2014年4月8日、p.11)
解説 ベトナムで買物をした外国人に対するVATの還付は、2012年7月1日からノイバイ、タンソンニャット空港の2ヶ所で試験的に行われています。   還付対象品は次の条件を満たさなければなりません。 ①VAT課税対象品で未使用、航空機への持込が可能 ②輸出禁止・規制品でない ③出国日前30日以内に発行されたインボイス兼還付申告書がある ④1日に1店舗で購入した商品価格が200万VND(約9950円)以上   搭乗手続き前に、空港の所定窓口で パスポート、インボイス兼申告書、商品を提出し、検査を通れば、その場で還付がなされます。   ただ認知度はまだ低いようで、税関総局によると2012年7月1日(日)~2014年2月28日(金)の約1年半で還付実績は8628人、還付対象商品総額4257億VND(約21億1791万円)、VAT還付額は329億VND(約1億6368万円)となってなっています。

越僑が大量に国籍喪失? 維持登録規則で

2008年国籍法および細則政令78/2009/ND-CP号に基づき、法律が発効した2009年7月1日(水)までにベトナム国籍を喪失しておらず、有効なベトナムのパスポートを持たない越僑は、2014年7月1日(火)までに国籍維持登録を行わなければ、国籍を喪失する。   だが越僑400万人のうち維持登録を済ませているのは6000人、法律はほとんど周知されておらず、早期の改正を求める声が強まっている。 (『Nguoi Lao Dong』2014年4月3日、p.01)
解説 海外に暮らす中国人は「華僑」、これに対し在外ベトナム人は「越僑/Viet Kieu」と呼ばれます。特にベトナム戦争終結時に難民として国外に出た人が多く、今は欧米、ロシア、オ―ストラリア、東・東南アジアを中心に世界103ヶ国に400万人超がいるそうです。   最も多いのは、カリフォルニア州の「リトル・サイゴン」で知られる米国で220万人、これにフランス30万人、オーストラリア30万人、カナダ25万人などが続き、東アジアでは台湾に20万人、韓国に10万人、日本にも4万人超が暮らしています。   越僑のベトナム経済に対する影響力は大きく、世界銀行統計では2013年は110億US$が母国に送金され、国外在住者からの母国への送金が多い国として世界9位。2013年の外国直接投資(FDI)実行額が115億US$で、各国企業によるベトナム投資に匹敵する額が送金されています。
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