2014.01.24

ベトナム中部で楽しめる旧正月のおやつたち

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グエン(Nguyen/阮)朝時代に宮廷料理が発展したこともあり、伝統的な茶菓子の種類が豊富なベトナム中部。普段でも手に入るものもあるが、旧正月近くには、スーパーに旧正月向けの菓子コーナーが開設される。
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撮影・文/隅野史郎

クアンガーイ(Quang Ngai)省代表・ベトナム版雷おこし

バインノー Banh No

ポンっと膨らんだもち米をショウガ砂糖で繋いだ菓子。収穫したもち米を乾燥させ、じっくりと煎り上げてからショウガ砂糖のシロップに漬ける。型で成型したのち、さらに軽く焼き上げれば完成だ。さっぱりした甘さとさくっとした食感は、ベトナム版の雷おこしといったところか。

Chon-11袋1万5000VND(約80円)前後~。クアンガーイ省ディエンチャン(Dien Trang)村はバインノー作りで有名。村内に多数の工房がある

クアンナム(Quang Nam)省代表・黒糖モチ

バイントー Banh To

外見からでは食べ物なのかすら分からないバイントーは、サトウキビから作った黒糖に近い砂糖が主原料のモチだ。モチ米を粉にし、砂糖とショウガを混ぜ、バナナの葉を敷き詰めた型に入れる。それを2時間以上蒸し、冷まして作る。できたては柏モチのような食感が楽しめる。

Bicycke-11個2万5000VND(約130円)くらい。日にちがたったものは、油で揚げて食べるのがおすすめ。外はパリッと、中はモッチリで甘みも強調され、よりおいしい。

クアンナム省代表・プチホットケーキ

バイントゥアン Banh Thuan

タコ焼き器のようなくぼみのある鉄板で焼いた、直径5cmほどのかわいいケーキ。小麦粉が高価だった時代は米粉を混ぜていたため、もちもちした食感が日本の人形焼に似ていたとか。最近では小麦粉、卵、砂糖、ベイキングパウダーと、ホットケーキと同じような材料で作られている。

Momiji-11袋が5万VND(約250円)前後~。昔は旧正月になると、ほとんどの家庭で作られていた。現在も農村には、この習慣が残っている

フエ代表・らくがん

バインイン Banh In

グエン朝時代にフエのキムロン(Kim Long)村で生まれたと伝わる。緑豆粉と砂糖を練り合わせ、型に入れて固まったら取り出して焼き上げる。寿や福などの文字や模様が浮き出るため、ベトナム語で「型取りケーキ」という名前がついている。日本の落雁(らくがん)に似ている。

Zen-11袋が1万2000VND(約60円)前後~。一説には、かつて旧正月近くにキムロン村に立ち寄った皇帝に、所望されて作られるようになったという

ダナン代表・牛肉ソーセージ

チャーボー Cha Bo

ダナンの旧正月料理に欠かせない牛肉ソーセージ。すり身にした牛肉に、ニンニクやコショウ、ネギ、豚の脂、魚しょうヌックマム(Nuoc Mam)といった薬味などを加え、バナナの葉で包んで蒸し上げたもの。スライスしたニンニクと唐辛子を添えて食べる。ダナンを訪れたベトナム人観光客が、お土産に大量買いする姿もよく見かける。

Zen-1ダナンの旧正月の食べ物には、他にも発酵ソーセージのチェー(Tre)などがある。1kg30万VND(約1520円)

COLUMN : 旧正月の風物詩「ズアモン」作り

旧正月前になると、スライスされたニンジンやダイコン、ラッキョウなどがザルに広げられて、家々の軒先に干されるようになる。テトの定番漬物「ズアモン/Dua Mon」を作っている光景だ。甘ラッキョウに似た味付けで、ごはんにも酒にもよく合う。これが並ぶとダナンっ子は、「もうすぐ旧正月だなぁ」と感じるという。