伊藤忍のベトナムめし大全/第60回 高菜漬けと豚肉の炒めもの/Dưa Chua Xào Thịt

VietMeshi_001漬け物の浸かり具合や、漬け物の味付け(塩分や糖分)によっても毎回微妙に味が異なり、その違いを味わうのも楽しみの1つ 今回ご紹介するのは、高菜の漬け物と豚肉を炒めた「ズアチュアサオティット」(Dua Chua=高菜の漬けもの、Xao=炒める、Thit=ここでは豚肉)。ベトナムには日本同様に色々な種類の野菜の漬け物があります。日常でよく食べられているのが、この料理にも使われている高菜の漬け物「ズアカイムォイチュア/Dua Cai Muoi Chua」(Dua=漬けもの、Cai=菜っ葉、Muoi=塩、Chua=酸っぱい)です。ズアチュア(Dua Chua)、ズアカイ(Dua Cai)、ズアムォイ(Dua Muoi)、カイチュア(Cai Chua)などと省略して呼ぶこともしばしばですが、どれも同じ漬け物を指しています。   高菜漬けは日本でも九州などでよく食べられていて、高菜漬けで包んだおにぎりや、高菜漬けの油炒めをのせるラーメンなども有名ですよね。   日本人のみなさんがイメージしやすい様に「高菜漬け」と呼んでしまっていますが、日本ではアブラナ科カラシナの変種の「高菜」を使います。しかし、ベトナムで食べられているものは、主に「カイベサイン/Cai Be Xanh」と呼ばれる(別の青菜を使うこともあります)、同じくアブラナ科カラシナの変種です。厳密に言えば、「高菜」とは微妙に異なります。同じカラシナの仲間なので、マスタードと同じ成分の辛味と風味があるのは同じです。   この漬け物は菜っぱを軽く干してから塩漬けして乳酸菌発酵させて作り、出来上がったものには独特の酸味と発酵の旨味があります。日本では株を丸ごと干してから漬け、ベトナムでは丸ごとの場合もありますが、軽く干し、ひと口大に刻んでからねぎと塩を加えた漬け汁にひたして作ります。高菜漬けはベトナムの旧正月テト(Tet)を祝う際には欠かせないものです。   北部では、豚肉と筍の煮物やゆでた豚肉や豚肉の煮こごり、南部では豚肉と卵の煮ものなどといっしょに食べられていて、普段は白いごはんのお供にそのまま食べることもあります。私は何と言っても料理に使うのが好きです。スープに入れたり、豚肉といっしょに煮たり、揚げ焼きした魚の煮汁に入れたりと、ベトナム各地で色々な高菜料理があります。   中でも、気軽に作れてベトナムの各地で食べられているのが肉と炒めたこの料理なのです。高菜の漬け物の味を生かして、豚肉を高菜の味を生かして炒めたもので、白いごはんにこれをのせて食べれば、ごはんが進み過ぎてしまう危険なおかず…。高菜に塩気だけでなく、酸味、旨味があるので、油や肉を入れた炒め物でも味にメリハリがあって飽きないのです。 VietMeshi_002

高菜の漬け汁は水に塩、砂糖、人によっては酢を加えて煮立て、冷ます。砂糖が入り、塩を水に溶かしているので、日本のものほど塩辛くない

伊藤忍 いとう しのぶ ベトナム料理研究家。2004年より日本にてベトナム料理教室『an com』を主宰。ベトナム料理店を広めるために料理教室のほか、テレビ、ラジオ、雑誌、書籍などで幅広く活躍中。 ウエブサイト:http://www.vietnamfoodnet.com
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