ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 7月号

ベトナムニュース解説証券市場、6月から新しい情報開示制度が開始

証券市場では2012年6月1日(金)から、通達52/2012/TT-BTC号に基づく新しい情報開示制度が導入される。 新しい点は様々あり、大規模な公開会社は、証券市場に上場していなくても、上場企業同様の情報開示が求められる。 また、情報開示期限はこれまでも規定されていたが、「不可抗力」の事態により開示を遅らせることができた。社長が海外出張、パソコンが壊れた、などという理由も通用していたが、通達52号では、開示の遅れが認められる不可抗力の事態として、「自然災害、火災、戦争、または国家証券委員会が認めたその他の場合」と具体化されている。 (『Phap Luat』2012年5月21日、p.11)

解説

日本人投資家もかなり増えた「ベトナム株」ですが、ベトナム証券市場はホーチミン市証券取引所が2000年、ハノイ証券取引所が2005年の設立と、まだとても若い市場です。 ホーチミン市証取の設立当初の上場銘柄はわずか2つ、取引は週3日のみでした。現在、同証取の上場銘柄は300超、取引も毎日(土・日曜・祝祭日を除く)行われていますが、午後にも取引が拡大されたのは2012年3月と、つい最近のことです。 このように若い市場であるがために、規則の不備や違反の取り締りも甘い状況です。ベトナム企業は情報開示の意識が薄く、上場企業でも形式的な面が残り、違反も多く、インサイダー取引など不正の問題も多数指摘されています。

過去9年の最低賃金、 実質上昇率は60%

ベトナムでは2001年以降、最低賃金が8度改正されている。ただ改正は物価上昇を補填するのが主で、生活に十分な給料の確保、労働の価値に合った引上げは行われていない。 2002年の月額最低賃金は21万VND(約800円)、現在(2011年)の水準はこの295.2%増だが、消費者物価指数は147.2%上昇しており、9年間の実質的な給与上昇率は59.9%、年平均5.4%にとどまる。 (『Thoi Bao Kinh Te Viet Nam』2012年5月18日、p.04)

解説

内務省によると、公務員等の給料の基準として適用される2011年の一般最低賃金(月額83万VND/約3160円)は、同年の全国における1人あたり平均支出額(約140万VND/約5320円)の58.1%相当でしかありません。 2012年5月1日(火)から105万VND(約3990円)に引上げられましたが、「こんな給料では生活できない」と嘆く公務員も多く、これが収賄の一因にもなっているようです。 企業に適用される地域別最低賃金は現在、ハノイやホーチミン市などで月額200万VND(約7600円)となっていますが、両市での最低の生活をまかなえる所得は、約304万VND(約1万1560円/2011年)とされています。 このような状況から、所得水準の低い工場などでは、賃上げや手当増額を求めるストライキが度々発生しています。家計を維持できないからと結婚をあきらめたり、家庭を持つ人でも子どもを作らなかったりする例もあるそうです。

不妊治療の進歩、 外国からの患者も増加

1998年、ベトナム初となる試験管ベイビーがホーチミン市トゥーズー(Tu Du)病院で生まれた。これまでに全国で10万人以上が人工授精によって誕生している。 同院よると、不妊治療科を訪れる夫婦は増加している。10年前は1日10人にも満たなかったが、現在は約200人が受診する。ベトナムで治療を受ける外国人も多く、2011年は、外国から夫婦101組がホーチミン市フーニュアン(Phu Nhuan)区のアンシン(An Sinh)病院の不妊治療科に来院している。 (『Tin Tuc』2012年5月17日、p.12)

解説

保健省によると、国民の7~10%が不妊症で、不妊治療を受ける夫婦は増加しています。 近年は不妊治療で大きな進歩があり、ベトナムは体外受精で東南アジアをけん引し、技術移転や育成の拠点ともなっています。不妊治療で先を行くトゥーズー病院は新技術導入に意欲的で、体外受精成功率は、世界各国と同水準の30~40%に達しています。高い成功率に加え、治療費が先進国に比べ安いため、ベトナムで不妊治療を受ける外国人夫婦も増えているそうです。 一方で、ベトナムの出生率は連続的に低下しており、2011年の夫婦1組あたりの出生率は2.03。出生率が低いのは南部で、特にホーチミン市では1.45となっています。 またベトナムは、出産年齢にある女性の人工中絶率が東南アジア最高となっており、世界的にも最も高い国の1つに入っています。
情報提供:「ベトナム最新情報」 TOHO CO., LTD. 日系進出企業向けのビジネスニュースを週6回配信。開始から13年、250社超の企業が定期購読。 www.toho.com
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