メディカルトーク/第86回 深刻な大気汚染/どう対処する?

メディカルトーク症例

幼稚園に通う子どもを持つ30代女性から、「PM2.5」や「AQI」の意味、ベトナムの大気汚染に関する質問があった。人体に与える影響や対処法などの詳細を回答した。

今回のドクター

富浜有香家庭医・総合診療医/インターナショナルSOS ホーチミンクリニック
① PM2・5とAQI 最近よく話題にのぼるPM2.5(微小粒子状物質)とは、大気中に浮遊している2・5マイクロメートル(μm)(1μmは1㎜の1000分の1)以下の小さな粒子のことです。また、「AQI」とは「Air Quality Index」の略で、空気の質を表す指標です。 ②数値の見方は? ベトナムではAQI値を経時的に知ることができませんが、近い将来ハノイ市内に電光掲示板が設置される予定です。 値の目安としては、(1)0~50/良好、(2)~ 100 /中程度、(3)~150/敏感な人にとって不健康、(4)~ 200 /全ての人にとって不健康、(5)~ 300 /非常に不健康、(6)~500 /危険となります。 世界保健機関(WHO)によると、2002年のホーチミン市内では、雨期は比較的低値、乾期は高値と季節によって汚染状況に違いが見られます。 ③原因と人体への影響 大気汚染の原因は、社会発展に伴い急増したバイクや自動車などの交通手段が最も汚染に関与しています。 PM2・5は、髪の毛の太さの30分の1ほどの大きさで、肺の奥まで入りやすく、呼吸器系や循環器系への悪影響が心配されています。政府は大気汚染問題に取り組んでいますが、近年小児の急 性下気道疾患と大気汚染の関係が指摘されています。 ④空気洗浄器が強い味方 空気の透明度や色などで判断する以外の対策としては、0・3μmのホコリを捕塵する性能をもつHEPAフィルター付きの空気洗浄機をおすすめします。フィルターが付いていなくても、日本製で あれば対応可能です。 残念ながら、ベトナムの布製や風邪用のマスクでは、PM2・5に対応できません。大気汚染状況が悪い場合は、外出時に防塵マスクを装着してもいいでしょう。
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