ベトナムの日本人／荒木俊勝さん／ベトウェブTV 運営

偶然出くわした出会いから生まれた映像は150本。 大好きなベトナムと日本の情報を発信していきたい

「ありきたりかもしれませんが、映像を通じてベトナムと日本を繋げられることは幸せです」。 ぱっと見、近づきがたい強面といえるが、話すと穏やかな口調で親しみやすい荒木俊勝さん。観光地やローカルグルメ、街歩き、ベトナムの若者たちをはじめとしたベトナムの日常などを動画撮影し紹介しているウェブサイト「ベトウェブＴＶ」を運営している。２年ほど前から掲載を始め、4月5日現在、150本にものぼる映像が見られる。 荒木さんが初来越したのは約13年前。当時、「ベトナムと自分は合う」と直感したそう。ここ数年の間に旅のスタイルは変わり、ひとりでベトナムを旅する人が増える一方、ウェブ上でベトナムへの不安や質問など、情報を求める書き込みがある。それを見て、サポート役になりたい、一目で分かる映像で伝えたい、と思ったのがきっかけだ。 「カメラを向けられたベトナム人たちは、イヤイヤと照れながらも、意外とノリノリで撮影に協力してくれます。そして撮影が終われば、あっさりその場からいなくなる。そのやりとりが面白いですね」 と話していたと思いきや、突然、 「ちょっと待っててください！」 と言い残し、少し離れたところにあった路上カフェに行き、カメラを構えはじめた。たまたま鉢合わせた面白い場面に、思わずカメラを向けざるを得なかったようだ。 ベトナム語をあまり話せない荒木さんは、身振り手振りの上に、通じているのか分からないが日本語と英語で冗談を放つ。わずか数分で、何とはなしに心を通わせているから不思議だ。別れ際には撮影されたベトナム人と「わはは」と笑いながら、すっかり仲良くなっていた。　 「僕が冗談ばかり言ったので、きっと“こいつ、バカだな～”と思っていたんじゃないですか（笑）。撮影時はとくに撮りたいものを決めず、アポなしで行ってます。出会う人、サポートしてくれる人が皆良い人で、助けられていますね。そういう意味で自分はラッキー」。 くしゃっとした笑顔で見せる大らかな人柄が、ベトナム人の心をオープンにするのかもしれない。「ベトナムでは生活環境や仕事に対する姿勢、考え方も違う。ベトナムと関わって13年と言いながらも、昨年からホーチミン市で暮らすようになり、いま社会人１年生の時のように経験、勉強、学習をさせていただいています。新鮮な気持ちで楽しんでいますよ」。 「ベトナムが好き」、「日本が好き」を口癖のように連呼していた荒木さん。 「今後、ベトナムの若者達にも日本文化、若者ファッション、サブカルチャーなど、日本の情報も映像発信していきたいですね」。 まさにベトナムと日本との懸け橋。今後も、彼なりの目線で両国の確かなものを伝えてくれることに期待したい。

荒木 俊勝 あらき としかつ 長崎県出身。2012 年、ホーチミン市に「ティー・ジェイ・ヴィーベトナム社／Cong Ty TNHH T.J.V VIETNAM」を設立。企業PRやプロダクトパッケージの制作、セールスプロモーションなどの業務を請け負う傍ら、「ベトウェブTV」を運営。 http://vw-vietweb.com