ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説 5月号

ベトナムニュース解説「土地収用急げ」交通運輸省がハノイに指示、補償請求受けて

2013年4月4日(木)、ハノイ市人民委員会との交通プロジェクトに関する会議で交通運輸次官は、ニャットタン(Nhat Tan)―ノイバイ(Noi Bai)道路プロジェクトのパッケージ1、2の土地収用を急ぐよう指示した。土地収用の遅れで外国請負業者に補償を請求される不安がある。 同次官によると、土地収用の遅れによる請負業者への補償は前例がないが、外国請負業者に釈明も難しく、日本との二国間関係にも影響を与える。 ニャットタン橋プロジェクトのパッケージ3(北側アプローチ道路)では、1年半にわたる土地収用の遅れから請負っている東急建設社が投資主の交通運輸省に対し2000億VND(約9億3460万円)の補償を求めている。 (『Sai Gon Tiep Thi』2013年4月5日、p.02)

解説

社会主義国であるベトナムでは、国民に土地の「所有権」はなく「使用権」があるのみです。特に公共工事などでは、国民に有無をいわさず国が迅速に土地収用するイメージはあるものの、長引くことが非常に多くあります。 土地収用の問題点としてよく報道されるのは、補償額が低すぎる、同一事業で補償額が地域により異なる、立退き後の移住先整備が進んでいない、といったものです。 こういった土地収用や着工の遅れなどから、事業全体の進行が計画より何年も遅れ、その間の建材や立退き補償費の上昇により、総工費が当初計画の倍になるといった例も出ています。 また近年全国で乱立している工業団地などでは、立退きを行なったものの、その後造成も進まず、雑草が生えるだけで放置されている例も多く、立退き対象者から不満も出ています。

鳥インフル、ハノイ・ホーチミン市で入国者の監視強化

ハノイ市保健局は2013年4月5日(金)、市内の鳥インフルエンザ(A/H7N9型)予防計画を話し合い、各病院に対し、隔離エリアの設置や診療手順、医薬品、医療機器の見直しなどを求めた。 ノイバイ(Noi Bai)国際空港で感染が疑われる例が見つかった場合、血液検査を行い、患者を病院に移送し、治療にあたる。 ホーチミン市保健局も同日、国際保健検疫センターなどに、入国者の監視強化と遠隔体温検査を要請、感染の疑いがあれば隔離し、予防策を講じる。 (『Tin Tuc』2013年4月6日、p.05、『Phap Luat』4月6日、p.02)

解説

ザの感染は見つかっていませんが(2013年4月15日(月)現在)、警戒態勢が続いています。 ノイバイ国際空港、ホーチミン市・タンソンニャット(Tan Son Nhat)国際空港では、入国者の体温チェックが行われています。また密輸を含め中国との国境貿易が盛んな北部各省では、密輸された鶏を処分するなど監視を強化しています。 4月上旬には、H5N1 型鳥インフルエンザへの感染で、南部ドンタップ(Dong Thap)省で4歳の男児が死亡。ベトナムではH5N1 型の鳥インフルエンザが散発的に続いており、世界保健機関(WHO)などによると、この男児を含め2003 年以降これまでのベトナムでのヒトへの感染例は124名、死者62名となっています。

子どものビタミン不足深刻、成人平均身長は35年で4cmしか伸びず

国立栄養院とベトナム栄養会によると、栄養不足の子どもの割合は東南アジア3ヶ国(マレーシア、インドネシア、タイ)と比べ、ベトナムが最も高い。 ビタミンA、B1、C、D、鉄分が不足しているベトナム人の子どもは50%以上。都市ではビタミンD不足の男児が約50%、女児が58%あまり、農村では47%近い。5ヶ月~ 6歳児の貧血の割合は農村で25%、都市で20%。 ホーチミン市第2児童病院栄養科では、診察する1日約200人の子どものうち、50%が栄養不足、5%が肥満。裕福な家庭の子どもでも栄養が不足している例も多いという。 なお、タイや中国などの近隣諸国では平均身長が10年で2cm伸びているのに対し、ベトナムはわずか1cm、35年で4cmしか伸びておらず、平均身長は男性164.4cm、女性153cm。 (『VnExpress』2013年3月27日、『Lao Dong』3月29日、p.01)

解説

経済発展が進み、食の面でも豊かになったベトナムですか、栄養失調児の割合は、まだかなり高いようです。2010年国民生活水準調査によると、栄養失調児の割合は2002年の51%から2010年には27%まで減少。しかし特に農村部で高く、貧しく満足な食事を与えられない、保護者の栄養に関する知識不足などが原因にあります。 子どもの栄養失調削減は国家目標の1つで、幼稚園や小学校での栄養バランスを考慮したメューや牛乳の導入、生後6ヶ月までの完全母乳育児などが推奨されています。日系など外資企業による栄養知識の普及、バランスの取れた食事に関する教育など、企業の取り組みも盛んです。
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