2012.06.08

最終回 現地進出にあたっての/基本的な注意事項

ベトナムビジネス連載の最終回にあたり、特に新規の投資家が気をつけるべき点を、いくつかお伝えします。初の海外進出がベトナムとなる企業も多いようですが、不慣れな海外のためか、日本では考えられないような行動をとる方もいます。

通訳は万能か?

現地でのコミュニケーションは、大きな問題です。特に視察などの際には、意思の疎通や雑務を代行してくれるベトナム人の通訳・ガイドなどは、頼りになる非常に心強い味方と感じられることでしょう。そのため、投資家の中には、会社の設立、契約手続きなどビジネス上の重要な件までを彼らに頼んでしまい、後で大きな問題が発生することがあります。通訳やガイドは、決して「万能」ではないので、専門外の依頼は慎重に考えるべきです。

会社の設立が目的?

商業、飲食店、サービス業などは、外国人投資について規制の多い分野で、会社の設立手続きも複雑で時間を要します。そこで、ベトナム人の名義を借りる話も耳にします。 名義借りのリスクを考え、慎重に名義人を選び、周到に準備するのなら、私は必ずしも否定はしません。ところが、面識を得たばかりの人の名義を安易に借りる事例を、しばしば目にします。会社の設立は、長期的な経営を行い利潤をあげる手段であって、目的ではないはずです。長い将来を考えた上で、確実な方法を取るべきでしょう。

何でもコネ?

ベトナムでは、行政機関との人的関係が重要なことは認めます。ただし、法的な要件を十分に満たした上での話です。コネで何でも解決できると主張する方もいますが、そういった意見には耳を傾けない方が安全です。法規に基づき、安全、確実な措置を取ることが、最終的には安上がりです。 2年半にわたる長い間、どうもありがとうございました。皆様のご健康とご成功をお祈りいたします。
斉藤 雄久 さいとうたかひさ 早稲田大学社会科学部卒業。2008年「AIC VIETNAM CO., LTD.」の設立に参画。 http://aic-vietnam.com