2012.05.09

第29回 解雇について

ベトナムビジネス被雇用者を解雇できるケース

お問い合わせの多い、被雇用者の解雇について解説します。ベトナムの労働法では、雇用者が一方的に労働契約を終了できる場合を、労働法第38条で下記の通り規定しています。
  1. 被雇用者が、契約で規定された業務を繰り返し履行しない
  2. 労働法に基づく解雇措置
  3. 被雇用者が疾病し、無期限契約の場合には連続12ヶ月、12ヶ月~36ヶ月の契約は連続6ヶ月以上、12ヶ月未満の契約では、期間の半分以上を過ぎても、回復が見込めない
  4. 天災や災害
  5. 企業等の活動停止

労働法に基づく解雇措置とは

上記②について、ベトナムの労働法では以下の者は解雇が可能です。
  1. 窃盗、横領、技術・経営上の機密漏洩など、雇用者の資産、利益に重大な損失をもたらす行為を行った者
  2. 賃金の据置き、減給を伴う配置転換処分の期間中に、違反行為を重ねた者。降格処分を受けながら、再度違反を行った者
  3. 1ヶ月に計5日間、または1年に計20日間、正当な理由なく欠勤した者
なお、雇用者が被雇用者を解雇するためには、その行為が解雇事由に相当することを立証する必要があります。前述の2および3は立証が比較的容易と考えますが、問題は1です。業者からリベートを得ているなどの伝聞・推測では解雇はできず、きちんとした証拠が必要です。 また、勤務時間外において、被雇用者が交通事故、傷害などの事件を起こした場合も、どのように「雇用者の資産や利益に重大な損失をもたらす」かを、立証しなければ解雇できません。事件や事故が新聞などで報じられれば証明も可能でしょうが、そうでない場合は容易ではありません。 解雇の場合には、管轄の労働局への報告義務もあり、手続きも面倒ですので、現実的には被雇用者を諭して自己都合退職させることが、最善の方法であると考えます。
斉藤 雄久 さいとうたかひさ 早稲田大学社会科学部卒業。2008年「AIC VIETNAM CO., LTD.」の設立に参画。 http://aic-vietnam.com