2012.03.16

領事からのメッセージ/~いかさま賭博~

昔からある手口ですが、被害が後を絶たず、当館に毎年30~50人の方が被害報告されています。圧倒的に日本人被害者が多いのが特徴です。 日本人は、まず相手を信用することから関係をはじめようとします。その性格は世界的に希有なものですし、人間として非常に素晴らしいことなのですが、その反面、海外では格好の餌食になるのです。外国人との交流は非常に良いことですが、同時に日本人は常に犯罪者から狙われているという意識を持つことが、事前に身を守る意味でも非常に大切です。

犯人像

多くはフィリピン人です。もともとタイで活動しており、2006年にタイで一斉取り締まりが行われた結果、2007年の夏頃にベトナムにもやって来ました。現在、特定のフィリピン人約30名が別々のグループで活動しています。彼らは観光目的でベトナムに入国し、ある程度稼いだ後、ビザ等が切れる前に出国、その後カンボジア、香港、マカオ等の東南アジア諸国を回って、同じように「いかさま賭博」で荒稼ぎをしています。したがって、ベトナム特有のものではなく、東南アジアでは、常に「いかさま賭博」の被害に遭う可能性があることに注意する必要があります。

ターゲット・巧妙な細工

特に、1人旅の女性や学生に被害が集中しています。土地勘のない者を意図的に狙ううえ、タクシーでわざと遠回りをします。犯行現場が分からなくては、公安が動けないことを彼らは熟知しており、犯行現場も頻繁に変えています。 暴力事件に発展すれば、公安が積極的に動くことを知っているため、決して暴力を用いません。犯人側は4人前後という数的有利を利用して、心理的に被害者に恐怖心を植え付けて追い込み、指示どおりに動かざるを得ない状況を作り出します(手口の詳細は、コチラをご覧ください)。

ほぼ100%防ぐ方法

一連の手口のなかで、キーポイントとなるのは、犯行現場を分からないようにするため、必ずタクシーで移動することです。つまり、タクシーに一緒に乗らなければ、被害に遭うことはほぼ100%防げるのです。基本的なことですが、出会ったばかりの見知らぬ者とは、安易に一緒に行動しないということに尽きます。 ちなみに、特に学生さんがいかさま賭博の被害に遭ったとき、「見知らぬ者と安易にタクシーに乗るなっ!」と強く説教しています。今から約7年前、イラクで日本人青年が武装グループに拉致監禁の上、殺害された事件がありました。当時、私は東京の対策本部にいて、何とも苦々しい思いをし、この思いや教訓からお節介と知りつつも、説教を続けています。昨年は、この回数が少なくなり、ちょっとだけホッとしているところです。
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