2012.02.15

No. 004 格好の的/Peter Stuckings

No. 004 格好の的/Peter Stuckings この数年間、ベトナム各地をほとんどくまなく訪れて、観光名所や名物料理、人びと、景色を撮影してきた。いつも驚かされるのが、北の端からメコンデルタに至るまで、日中の暑いさなかに仕事場で寝ている人たちだ。スペインやイタリアのように、ベトナムには昼寝の習慣があるのだ。 旅行写真家として、通りがかった国々の変わった事柄や、面白いものを記録するのが私の生きがいだ。人前で寝転がり、周りを全く気にせずに眠っている様は、私にとっては、かなり変わったことで面白い。 彼らが仕事道具を置き、足をあげ、1、2時間の睡眠をとっている気ままさが大好きだ。道の脇で、市場の商品にまぎれて、シクロの上で、出入り口で。どんな場所でもあり。これは不思議でもなんでもない。彼らの1日の始まりはとても早い。ハノイでは、朝の5時には人びとが通りに出ているのだから! 昼時になれば疲れを感じるのは、よくわかる。 この写真を見て、人は被写体に対して失礼だと思うのだろうか、とよく考える。本人の許可なくこっそり盗んだかのごとく、相手につけこんでいるかのように。 けれども、そんなつもりは全くない。それに、寝ている人の友達や家族は、写真を撮る私をそそのかす。とにかく、人前という人生の素晴らしい舞台での出来事なのだ。さすらいの写真家にとって、彼らは格好の的なのである。 No. 004 格好の的/Peter Stuckings

No. 004 格好の的/Peter Stuckings

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No. 004 格好の的/Peter Stuckings

写真・文/ピーター・スタッキングズ オーストラリア人フリーカメラマン。メルボルンの写真学校卒業後、勤め人から脱してプロカメラマンになる夢を叶えるべく、ベトナムへ。旅行、商業写真を中心に、『Time』、『Conde Nast』、『Travel+Leisure』など、各国の雑誌でも活躍する。ベトナムをはじめとするアジアを中心に活動。 www.indochinaimages.com
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