第26回 商社（流通業）の設立について

投資証明書の取得は困難多し

流通業は、2009年１月より100％外資に開放されています。かなりの数の日系企業も設立され、大部分は製造業向けに部品、原材料、機械などを販売する専門商社です。 この分野は投資証明書の取得で困難が多く、申請が却下される事例もあります。取得できた場合も申請から早くて２ヶ月程度、なかには半年以上といった話も耳にします。 また、同じ流通業でも一般消費者を対象にした物販店での進出は、手続きが非常に困難です。

新規設立に必要な書類

法人設立には、下記の書類が必要です（ハノイ商工局に申請の場合）。

1. 法人の投資登記申請書
2. 経営許可の申請書
3. 現地法人の定款
4. 事業内容の説明書
5. 経営許可内容の登録書
6. 出資者の財務能力に関する説明書
7. 事務所の賃貸契約書
8. 出資者の登記簿の写し
9. 直近１期の決算書の写し
10. 出資者の代表者、現地法人の代表者のパスポートの写し、など

商社設立の際は販売製品のHSコードの登録申請も行うため、②や⑤の書類に４桁のHSコードの記入、提出が必要です。発給される投資証明書にも、これらのコードが記載されます。

HSコードの申請にはご注意を

設立後に活動する際にも、登録されたコード以外の製品は取り扱えず、製品の追加には投資証明書の修正が必要です。申請時には、将来的に取り扱う製品も含め、できるだけ多くのHSコードを登録しようと、投資家としては考えます。 しかしながら、登録数が多いと、当局の勝手な判断で企業にとって不可欠な製品のコードまで削除される恐れがあり、注意が必要です。また、出資者の国外事業と関係の薄い製品のコードも却下されます。

斉藤 雄久 さいとうたかひさ 早稲田大学社会科学部卒業。2008年「AIC VIETNAM CO.,LETD」の設立に参画。 http://aic-vietnam.com