2011.12.08

第6回/ベトナムでも鉄は産業の米ですよ。

ベトナム株奮闘記インフレの勢いも収まりVN指数が上昇に転じた2008年8月、私はついにベトナム株投資をスタートさせました。それは口座開設手続きを始めてから3ヶ月後のことでした。 VN指数は前日に500ポイントを超えています。正直、あまりいいタイミングではありませんでした。 当時のベトナムは現在と同じようにインフレで苦しんでいたのです。その年5月の消費者物価指数は前年同月比で25.2%もの上昇となり、政府も金融引締めなど厳しい対応を取っていました。お金の動きを抑制し物価の上昇を抑えたのです。このことは株式市場にも影響を与えます。あまり株価が上がらない状況だったわけです。 でも、それまで3ヶ月も待って、ようやくベトナム株が買えるようになったんですよ。すぐ買いたいに決まっているじゃないですか? 早速、最初に買う株の検討に入りました。 まず「鉄は産業の米」という言葉を思い出しました。1960年代、高度成長時代の日本ではそんな言葉も使われたわけです。ベトナムと日本が同じとは言いませんが、これから鉄道や橋などインフラを整備しなければならない国です。鉄をじゃんじゃん使うのです。そんなベトナムで、鉄鋼株が上がらないわけがないと考えました。さて、結果はどうだったでしょう?

今月の一喜一憂 「儲からないベトナム株より、利子がもらえる銀行預金の方がいいのでは?」とよく聞かれます。現在、銀行預金の上限金利は14%です。簡単に言えば、銀行に1年間100万円預ければ、確実に14万円の利子がもらえるということです。凄いですよね?

でも、少し考えてみてください。現在のベトナムでは年間20%以上の物価上昇があるのです。お金の価値は年々減っているのです。となると、高金利の銀行預金でも得したことにならないわけです。もちろん、株で損するよりはいいですけどね。

脇田 敦 わきたあつし ラジオNIKKEI株番組の元ディレクター。2008年ハノイへ移住。ライター業のかたわら、ベトナム株を取引。著書に『日本サッカー狂会』(国書刊行会)など。 http://d.hatena.ne.jp/wakita-A