2011.11.12

第23回 退職金について

BIZ VIETNAMベトナムにおける退職金には、2009年より開始された失業保険制度の影響が生じています。被雇用者の退職時の対応について解説します。

退職金の支給

ベトナム労働法第42条によると、雇用者は1年以上正規に雇用した被雇用者との契約を終了する際には、1年につき半月分の賃金相当の退職金を支払う義務があります。なお、その算出のベースとなるのは、退職前6ヶ月間の平均賃金で、雇用契約書に記載された手当などを含みます。

失業保険制度

ベトナムでは失業保険制度が、2009年1月より開始されました。ただし、対象となるのは10名以上を雇用する企業・組織で、雇用者数が10名未満の場合には、この保険に加入できません。 保険料は、雇用者、被雇用者がそれぞれ給与の1%を毎月負担しますが、12ヶ月以上それが納付されている場合、雇用者は退職金を支払わず、被雇用者に対しては失業保険が支給されます。 なお、この制度が発足する以前の被雇用者の退職金については、失業保険制度に加入している企業・組織でも、従来の規定に基づく退職金を支払う必要があります。

解雇時の対応

労働法第85条第1.C項で規定されている事由で解雇する場合、退職金を支払う必要はありません。ただし、「月に合計5日、または年に合計20日以上の欠勤」を理由とする解雇では、退職金の支払い義務が生じます。 また、被雇用者が一方的に雇用契約を解除する際に、その解除理由あるいは事前通知期限が、法規に違反している場合も、雇用者は退職金を支払う必要がありません。
斉藤 雄久 さいとうたかひさ 1962年東京都生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。1994年に来越、2008年「AIC VIETNAM CO.,LETD」の設立に参画。