第67回 鳥インフルエンザに関する新情報

メディカルトーク症例 幼児をもつ在住日本人の母親が、鳥インフルエンザ感染を心配し、相談のため来院。予防方法などについて指導の上、本人の希望により季節性インフルエンザのワクチンを接種した。

今回のドクター Dr. ブライアン・マクノール(Brian McNaull)内科医/ファミリーメディカルプラクティス・ハノイ

①現状 2011年9月現在、ベトナム国内では、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の人から人への感染や死亡例は報告されていません。しかし2011年8月、ベトナムと中国で強毒性の鳥インフルエンザウイルスの変異株が見つかっており、警戒が呼びかけられています。 変異株に有効な家禽類用ワクチンは今のところなく、人に感染する危険性についてもわかっていません。万一、鳥インフルエンザの人への感染が確認され、それが拡大した場合は、医療施設内での厳重な隔離、看護のもと、抗インフルエンザ薬を中心として症状に応じた治療が行われることになります。 ②まずはインフルエンザの予防から 季節性インフルエンザの予防接種は、鳥インフルエンザに対しては有効ではありませんが、複数のインフルエンザの同時感染を防ぎ、重症化を防げます。また、季節性インフルエンザ自体、乳幼児や高齢者にとっては死亡の原因となりえる病気です。感染拡大に繋がらないよう、予防接種を毎年受けることを強くおすすめします。 なお、インフルエンザウイルスは毎年変化するため、そのシーズンに流行すると予想されるウイルス株を、流行前に接種せねばなりません。 ③鳥インフルエンザ流行に備えて 家禽類の生肉処理が行われる生鮮市場への出入りは、なるべく避けた方が無難です。流行に備え、タミフルの備蓄もご検討下さい。服用に際しては必ず医師に相談しましょう。流行後は入手が困難になると予想されるので、早めの準備がおすすめです。医療機関によっては、ベトナムでも入手できます。 また感染が拡大して移動が制限されることを見越し、少なくとも10~14日間分の水や食料を日頃から用意しておくことも重要です。
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