祖母から兄妹に受け継がれた北部家庭のもてなしの味 マムソン［ベトナム料理］

若きオーナー兄妹が２人で始めた、お洒落なベトナム料理店。観光客狙いで見た目だけと思ったら大間違いだ。 「家族３世代で住んでいた幼い頃、料理上手だった祖母は、毎日食事を用意してくれました」と、語る兄のトゥアン(Tuan)さん。兄妹の１番の思い出は、毎年、旧正月後に作ってもらった酒粕「ボンルウ／Bong Ruou」入りの生春巻きだ。北部の家庭料理で使われるこの酒粕は、爽やかな風味に程よい甘さが効いて、ドライフルーツのような食感。「ごちそうを食べ疲れた胃には、発酵した米にサトウキビの蜜を混ぜたボンルウが良いんですよ」と、家庭料理に隠された先人の知恵を教えてくれた。 「大切な祖母の味で客人をもてなしたい」。その想いを胸に、接客から調理、盛り付けまでスタッフに直接指導する、兄妹の思い入れたっぷりの店なのだ。 ヴァン村産の米酒で香り付けした「エビのフランベ／Flambe Prawn with Special Rice Wine from Van Village」15万5000VND（約610円） は酒粕入り「ハノイ風生春巻き／Ha Noi Style Fresh Spring Roll」（８万5000VND／約330円）。ベトナムの家庭では、特別な日にだけ使うという赤い盆（Mam Son)でサーヴされる粋な計らいも

店名：Mam Son 住所：35 Ton That Thiep St., Dist. 1 電話：(08) 3915 3653 営業時間：10:00～23:00 (L.O. 22:00)

撮影／井口和歌子、取材・文／金子麻由美