今井亜実さん／スキンケアマネージャー

健やかな心と体が作る 真の美しい素肌を

「キレイになりたい」。そう願う気持ちは、どの国の女性も同じだ。 近年、ベトナムでは美容関連市場が急速に拡大。美容院から、スパ、エステサロン、美容整形など、多彩な事業が展開している。 ブライダル、エステ、ヘアなどの総合美容サロン「ハナヨメ」に勤める今井亜実さんは、美しさに憧れるベトナム人女性たちをサポートするプロエステティシャンだ。 「この仕事の誘いを受けた時は、発展途上の国で、エステの需要が本当にあるのか半信半疑でした。でも、実際に来てみると、お洒落に気を遣う若い人が多くて驚きました。今後は需要も高まるはず、と思うようになったんです」。 働き始めた当初は、通訳のベトナム人スタッフに日本語がうまく伝わらず、もどかしく感じたこともあった。 「カサカサやモチモチ、ゴワゴワなど、肌の状態を形用する日本語は、擬態語が多いですよね。それらがうまく伝わらなくて『モチモチ』を理解してもらうために、白玉だんごを買ってきて『これがモチモチ』と、説明したこともあるんですよ」。 通訳スタッフが勉強熱心だったこともあり、「大変だったのは初めのうちだけ」と、笑顔を見せる。 現在、顧客の90％がベトナム人。その中に、肌のトラブルを恐れて、自宅から化粧品を持参した女性がいた。 「マッサージに愛用の乳液を使ってほしいと頼まれたんです。でも、乳液だと滑りが悪く肌に負担がかかること、仕上がりのふっくら感に差が出ることをきちんと説明し、納得いただいたうえで、サロンのマッサージクリームを使って施術しました」。 すると、「すごく丁寧で、今まで通ったエステサロンの中で１番気持ちよかった」と、笑顔を見せてくれたという。 「『あなたになら、安心して任せられる。次回からは、全てあなたが選ぶ化粧品を使ってほしい』とまで言ってくださいました。これほど嬉しいことはなかったですね」。 他のローカルサロンに比べて料金が高いと言われることがあるが、「この人だったら、少しくらい高くても施術してほしい、と思っていただけたら」と、話す。 そのためには、技術だけでなく、カウンセリングも大切で、特にフェイシャルを受けた客には、食事の話をするそうだ。「健康的な身体があってこそ、健康的な精神があり、健康的な素肌がある」という、これまで積み重ねた知識や経験から得た結論からだ。 「いくら外側をケアしても、内側に気を配らないと、エステの効果は得られにくいんです。『肌は内臓を写す鏡』といわれるほど、食べ物は肌に大きな影響を与えます。ですから、具体的な例を挙げて、肌にいい食品を摂るようアドバイスをしています」。 実は、来越前にインドへ渡り、兼ねてから興味のあったアーユルヴェーダを学んだ今井さん。個々の体質に合わせた食品やマッサージ等を生活に取り入れ、心身ともに健康になるというインドの伝統医学だ。この考えに感銘を受け、いつかアーユルヴェーダのサロンを開くのが夢なのだそう。 「まずは、このサロンでアーユルヴェーダを取り入れた体質改善メニューの導入を考えています。美意識の高いベトナム人女性が増え、彼女たちが美しくなるお手伝いができればと思います」。

プロフィール 今井亜実 いまいあみ 198４年　岐阜県生まれ。高校卒業後、美容師を目指すべく名古屋美容専門学校へ。在学中に、マッサージやエステに興味を持つようになり、卒業後は名古屋や大阪のエステサロン、美容クリニックなどで勤務。2010年12月よりホーチミン市の総合美容サロン「ハナヨメ／HANAYOME」（www.hanayome.com.vn）のエステフロアにて、施術やスタッフ指導にあたっている。