海の民は魚に通じ、山の民は草木を識る
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薬草の知識は親から子へ、祖父母から孫へと伝えられていく |
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サパの山に住む人々は、日々の糧を山から得る。食料だけではない。かつては生活に必要なものをすべて山から得ていた。病に倒れても、頼ることができるのは山だけだった。そうして長い時間をかけて、彼らの薬草に関する膨大な知識は、親から子へと受け継がれてきた。
1990年代後半になってサパの観光化が進むと、多くの観光客が町に押し寄せてくるようになる。そこで、土産物としての薬草が注目を集めるようになった。中国国境近くという、漢方薬が流通しやすい地理的条件に加え、「観光の目玉としての山岳民族」の知恵である薬草が、観光客が求めるサパらしい土産物としておおいに注目を集めたのだ。こうして生まれたのが、山岳民族の薬草知識と中国漢方が渾然一体となった「サパ漢方」とでもいうべきもの。そこで、そんな「サパ漢方」の世界を、少しのぞいてみることにしよう。 |
ルー・ティ・ウットさん
Lu Thi Ut / 52歳 タイ(Tay)族
薬草が生い茂るウットさんの自宅裏。薬草は家庭で利用するために植えているものがほとんどで、母乳の出がよくなるという実は、お嫁さんのためによく利用するとか。また、家族が病気になったときなどは、山の奥まで薬草を採りに出かけることもあるそうだ。
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1.母乳の出がよくなるというオオバイチジク(カイヴァー/Cay Va)の実。実を熱湯に入れ、お茶のように して飲む
2.鼻血が出たときは、カタバミ(チュアメー/Chua Me)の根の茹で汁を飲むと効果てきめんとか
3.ソリザヤノキ(ヌックナック/Nuc Nac)の皮で煮出したお茶は吹き出物にいい
4.ウットさんの自宅裏
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ファン・パー・マイさん
Phan Pa May / 63歳 赤ザオ(Dao Do)族
マイさんは自宅の庭に薬草園を持っている。遮光ネットを備えた本格的な畑だ。ここで栽培した薬草は、村の薬草組合を通じて企業などに出荷される。もちろん家庭用の薬草も栽培していて、そちらはスープなどに利用することが多いとか。
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1.マイさんの薬草園
2.カレーの香辛料として有名なカルダモン(タオクア/Thao Qua)は消化不良や食欲不振に
3.カルダモンとモチ米、豚肉を使ったザオ族版ちまき
4.ハスノハカズラに似たつる植物のビンヴォイニーガン(Binh Voi Nhi Ngan)。根を粉にして肌に塗ると 色白になるといわれていたが最近、皮膚癌の発生や進行を抑える作用があることも判明
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スケッチトラベルで行く!
サパ 藍染め見学ツアー 3泊4日
サパ週末3泊4日の旅
(2008年6月号 | 2008年6月27日 金曜日 10:31 JST更新) |