サパの街から望む、ファンシーパン
10月27日(金)/晴れのち曇り
1.山に息づく、人々の暮らし
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山の民・黒モン族のポーターたちは、約30kgもの荷を背負いながらも、軽々と山道を行く |
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頂上を目指すメンバーは、ガイド1名、ポーター4名。そして山の植生調査に出かけるベトナム人2名を加えた総勢9名。植生調査へ向かうウック(Uoc)さん(写真右から2人目)は、ファンシーパン登頂98回を数える、まさに山の主。ガイドとしても活躍しているとか |
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旅の始まり/標高1185m・気温29.2℃
収穫も終わりに近づいた棚田が広がる谷間。籐のかごに詰め込まれたポーターたちの荷の確認を終えると、「さぁ、いきましょうか」と言いながら、チュン(Trung)さんはバックパックの紐を締め直した。
ここはベトナム北西部の街、サパ(Sa Pa)。フランス人の手により避暑地として開発された、ラオカイ(Lao Cai)省の高原の街だ。標高約1500mにあるこの街の周辺には、モン(H'mong)族やザオ(Dao)族など、色とりどりの民族衣装に身を包んだ多数の少数民族が暮らしている。そして、そんな彼らを一目見ようと大勢の旅行者が詰めかけ、今ではベトナム有数の観光地となっている。チュンさんはそんなサパの街の観光ガイド。しかし、これから向かうのは、少数民族の村でも、高原でのハイキングでもない。インドシナで最も高い山、ファンシーパンだ。行程は3泊4日。テント持参のトレッキングに、期待と不安が入り交じる。準備を整え、朝9時半にサパを出発。スタート地点は黒モン族の村カットカット(Cat Cat)。すでに太陽は高くのぼり、気温も少し汗ばむほどの陽気。絶好の登山日和に、足取りも軽く森への一歩を踏み出した。
カットカット村から小さな吊り橋を渡り、緑の森へ入って行く。山道とはいえ、コンクリートで舗装され、軽いハイキングに来た気分。40分ほど進んだところで出くわした渓流を、小石の上を飛んで渡る。
サパからファンシーパンへ向かうルートは2つ。ひとつは登山ツアーでも一般的な、北周りのルート。シルバー滝(Silver Waterfall)と呼ばれる滝のそばの登山口から登るものだ。そしてもうひとつがこの、カットカット村からの南周りルート。日本の富士山より標高は低いものの、数年前までは竹藪を鉈で切り開きながら進まなければならなかったというこの山。しかし最近では道の整備も進んでいると聞き、今回は南ルートから登り、北ルートで戻る、ファンシーパンを縦走するコース設定で挑んでみた。
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