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[舞台を彩る匠の世界。]
古の調べを、今に伝える。

王宮内に保存されている、内戦前に使われていた楽器。象牙の螺鈿であしらわれたカンボジア王室の紋章も緻密にして華麗。この楽器の復元をソコンさんは試みている
カンボジアの伝統音楽で使われる楽器は、各楽器が奏でる音の調和をもっとも大切にしている。一つの楽器単体でも演奏可能な西洋楽器と比べ、根本的に楽器の持つ性質が違うという

 きらびやかな神々の物語を見せてくれる宮廷古典舞踊で、踊りと共に人々を遙かな世界へ導いてくれるもの、それが宮廷に伝わる古典音楽だ。古典音楽に使われる楽器には様々なものがあり、アプサラの舞には大きく分けて木琴、鐘、太鼓など、7種類の楽器が使用される。

 王立芸術大学で伝統楽器の研究を行い、自ら楽器の製作も行うソム・ソコンさん(45歳)は、現在王宮に残された伝統楽器の復元に取り組んでいる。装飾品と同様に、内戦期に楽器の作り手もまた失われ、王宮に楽器は残されているものの、その老朽化から、新たな楽器作りが急務とされているのだ。

 さらに彼は今、伝統楽器の研究だけでなく、カンボジア各地に伝わる伝統音楽の収集・研究も行っている。現在調査したものは約240曲。口承で伝えられることが多いため、時代と共に失われる前に、保存する必要があるという。

「これらの楽器や音楽は、私たちにとって忘れてはいけないもの。たとえば口承で伝えられてきた歌も、今ではその意味がわからない人が増えてきています。だからこそ、私たちは急いで保存に当たらなければならないのです。」

 
   

<古き良き、民族の音色を求めて。>
プノンペンのトゥール・トンポン・マーケット(通称ロシアンマーケット)で、カンボジア各地から集めた伝統楽器を修理・販売しているお店がある。主人であるソ・サヴンさん(38歳)は8年間、伝統楽器の製作を専門に学んだという楽器職人。彼の店へは観光客の他、古典舞踊を教えるNGOなども訪れているという。伝統楽器に興味のある人は、一度訪れてみては。

■Profile■
店名:カイスレン [Khai Sreang]
住所:No.186, Toul Tompong Market, Phnom Penh
電話:011-907864

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アプサラの魅力を求めてアンコール遺跡の旅へ

(2006年1月号 | 2006年1月6日 金曜日 11:02 JST更新)

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