音と匂いがむせかえる
市場は街の顔。
チョロン地区、最大・最古の市場。
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市場の中庭には、クアック・ダムの名を刻んだ石碑が立っている |
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1区にある市場と比べ、ぐっとローカル度が増すチョロン地区の市場。ちょっとひと足のぞいてみれば、そこには庶民の生活がいたるところに溢れている。卸し問屋のビンタイ市場を皮切りに、布地のアンドン市場、路地裏のサータイ市場と、その雰囲気はまさに混沌。しかも相手は商売上手の華人たち。街の顔とは言うけれど、チョロンを知る第一関門、心してどうぞ。
チョロン地区の西端、ちょうど5区から6区に入ってすぐのところに建つ、チョロン地区を代表するビンタイ(Binh Tay)市場。中国の潮州からやってきた大富豪クアック・ダム(Quach Dam)が、沼地であった土地を開墾し、開いたのが市場の興りと言われている。そして現在、ビンタイ市場は急速な発展を遂げ、小売り店が揃うベンタン市場に対し、卸売り問屋が軒を連ねる市場として、ホーチミン市の商業を影で支えるほどの規模となっている。
ホーチミン市内には他にも巨大な市場が数多くあるが、ビンタイ市場は華人の市場らしく、建物の作り自体も他と少し趣きが違う。屋根に龍をあしらった、その装飾もさることながら、中央に中庭を持ち、その周囲を建物が囲う造りは、中国建築の特徴である「四合院」の様式。もちろん看板や飛び交う言葉の端々にも、福建省や広東省からやってきた、チョロン地区に多く住む華人たちの言葉を聞くことができる。
2階建ての建物の中は、食料品から衣類、キッチン用品に至るまで、ないものは無いといえるほどの充実振り。さらに市場の周囲にもぐるりと市が立ち、市場近辺全体が、さながらひとつの市場のよう。ただし、観光客向けの商品は皆無。定番のお土産物探しは難しいけれど、もしかすれば可愛い掘り出し物がみつかるかも。
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