<活動寫眞のある風景> モチーフは「花」
蓮売りの少女が、蓮の造花が売られている光景を目にしたチョロンのロータリー
蓮売りの少女キエン・アン役を演じた女優グエン・ゴック・ヒエップ(Nguyen Ngoc Hiep:上写真)さんは、次のように語る。「蓮は、黒くて汚い沼に生まれながら、立派に育って綺麗な花を咲かせます。花言葉は『清純』。汚れた環境の中でも純潔を保つ姿は、ベトナム人が理想とするものなのです。」
ホーチミン市の郊外へ行くと、美しい花をつけた蓮の沼を見かけることができるが、映画で使われた白い蓮は市内ではそれほど一般的とは言えない。だが、「清らかな春」を演出したいというアメリカ越僑監督トニー・ブイ氏のアイデアで、あえて白い蓮が選ばれたという。ホーチミン市トゥードゥック(Thu Duc)区で撮影された詩人ダオの家の蓮沼も、ピンクの蓮を切って白い蓮を植えなおしたそうだ。「蓮が花開く早朝の撮影で一番楽しかったのは、小船を蓮の花でいっぱいにして、新鮮な蓮の実を食べられたことかな。」
「春」のラストシーンの撮影はサイゴン川で行われた。市内から車で20分ほど行くと、郊外のサイゴン川の様子は、市内のそれとは違った顔を見せる。対岸には木々や小さな家々が並び、高級住宅街があるかと思えば、その横を牛たちがのんびり歩いて行く。まるで、のどかな田舎のような風景の中で、亡くなった詩人の遺志をついで、キエン・アンは川にたくさんの蓮を流す。
「これが春のイメージであると同時に、映画の象徴でもあります。何が起きたとしても、そこには常に希望がある。そんな気持ちが込められていて、ますます蓮の花が好きになりました。また、乾季を表す花として、真っ赤な火炎樹のシーンも印象的でしたね」とゴック・ヒエップさんは語ってくれた。
映画の最後に印象的にスクリーンに現れる、この火炎樹。真っ赤な花びらに彩られたこのシーンは、生きることへの勇気を与えてくれるかのように感じられる。人間同士のふれあいから生まれる優しさ、強さ、そして希望。それこそが、この街の人々の生きる糧となっているのだ。
<女優/Nguyen Ngoc Hiep> 1965年カーマウ(Ca Mau)生まれ。4歳から劇団で演劇、歌の経験を積む。ハノイ映画専門学校を卒業後、「悪魔の印」(1992年)、NHKドラマ「夢見た旅」(1990年)など20本以上の映画に出演するベトナムを代表する女優。現在は監督としても活躍中。
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スケッチトラベルで行く シネマ・イン ホーチミン市散策ツアー
(2005年8月号 | 2005年8月4日 木曜日 10:45 JST更新)
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