ノンラーの葉っぱを作る人
グエン・タン・チャイン
Nguyen Tan Chanh (75)
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左)これがいぶす前のノンラーの葉(右)作業中は暑いだけでなく埃もすごい |
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左)ベトナム戦争時の弾痕が残る道具類(右)山から運び込まれたノンラーの葉 |
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3つの釜が並ぶ作業場内 |
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「40度以上になる作業場の中でずっと横についてないといけないんだ」
ノン(non)は「笠」、ラー(la)は「葉」、つまり「ノンラー」とは直訳すると「葉っぱの笠」という意味だ。その材料となる葉は、今も昔も手作業で作られている。ノンラー制作に従事する人が多く住むことで有名な、フエ市街南部のフーカム(Phu Cam)地区。その中でも、良質の葉を作ることで定評があるのがチャインさん、テさん親子だ。息子のテさんで4代目になるという。
訪ねていくと「実際に現場を見るかい」と、チャインさんが家の奥の作業場に誘ってくれた。 「葉は、山で働いている人が売りに来るので、その人達から買う。ノンラーの葉が採れる木は決まっているんだ。名前? 学術的なことは分からないが、地元の人間はみんな『ノンラーの木』って呼んでいるよ。」
先ずは葉の根元の堅い部分をカット。約50本ずつの束にした後、踏んで平たくする。これは一度に大量に釜に入れられるようにカサを減らすのが目的だ。 「次に、釜に入れて下から炭をたいていぶすという作業がある。緑色を残すのがポイントで、焦げたりしてはいけない。だから、葉の束をかき混ぜたり、火の温度を調節したり、ずっと横についてなければいけないんだよ。」
この燻蒸(くんじょう)・乾燥作業に約4時間かかる。一日中屋内で釜をたくわけだから、室内はまるでサウナのような状態になるという。 「釜から出すと、薄暗い作業場内にある横木に束をかけて、常温になるまで冷ます。太陽の光に当たると、葉の緑色が失われ、白っぽく色が褪せてしまう。そうなると商品価値が下がってしまうので、ここの窓は小さいんだ。」
その後、袋詰めして出荷となる。
「腕の良い息子が後を継いでくれたから、後は安心さ。これからも良い葉を作り続けてくれるよ。」
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