[ノンラーを作る職人たち]
刺繍をする人
チャン・ティー・キム・ユエン
Tran Thi Kim Uyen (37)
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チャンさんのように学校に行きながら刺繍をする女の子は多い |
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表面に描かれた下絵 |
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出来上がったノンラー |
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「自分の手で美しい物を作り出すのは、儲からないけど楽しいわ」
ノンソアイニュン(Non Xoai Nhung)と呼ばれる、外側に美しい刺繍が施されたノンラーもフエの特産品。フエの王宮の西側に位置するキムロン(Kim Long)村が、刺繍職人達が住む村として有名だ。フォン川沿いのキムロン通りから、小さな路地の奥に入っていくと、あちこちの家で女性達が刺繍をしていた。
村の人に「ここで刺繍の達人は誰ですか」と尋ねて紹介されたのが、Uyen(ユエン)さん・チャン(Trang)さん母娘。毎日、家の居間に座って、ノンソアイニュンを作っている。
ノンソアイニュンに使われるのは、葉が1層のみの薄いノンラーケー(Non La Ke)。何も描かれていないノンラーケーを仕入れ、薄く下絵を描いて、そこに刺繍を施していく。下絵のパターンは限られているが、どんな色を使って刺繍をするかは、縫い手次第。
「だから、色のパターンの違いまで入れると、数え切れないくらいの種類があるわ」とユエンさん。
刺繍の技量には歴然と差がある。下手な縫い手だと刺繍の脇から下絵が見えてしまったり、また糸にたるみがあって、絵の形が容易に崩れてしまったりする。もちろん、出来の良し悪しで、値段も変わってくる。
「どうしてキムロンに刺繍職人が多いのかって? ここの村は貧しくて、他に仕事がないからじゃないかしら」とユエンさんは言うが、村の女性達が集まっておしゃべりに興じながらできるこの仕事を、楽しんでいるように見えた。
「娘は午前中は学校に行っているので、帰って来てから手伝ってくれるのよ」とユエンさん。現在9年生、15歳になったチャンさんに、仕事は好きですかと尋ねると、「好きよ。だってきれいだもの」と、はにかみながら答えてくれた。
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