建築
高く、そして薄く。
長方形を極めるべし!!
仏領時代の面影残る瀟洒な建物、ベトナム庶民の雑然とした家屋。旅人たちが抱くそんなイメージとは裏腹に、今のベトナムには素敵に中途半端なビルがいたるところに建っています。その代表がこの、「うなぎの寝床」住宅(写真1)。横に狭くて奥に長い、とはいえ京都のような情緒を微塵も感じさせないあたりは、さすがベトナムならでは。一応ホテルですが、神殿のような柱を両端に携え、各階正面の壁には無意味に煌びやかな金色の紋章や天使がお出迎え。ちょっと落ち着ついて眠れない、そんな夜を味わいたいならどうぞ。
同じく何やらいびつな雰囲気の写真2のマンション。「ん?奥行きがないぞ!?」 そう、これは奥行きの方が短くなった、ベトナム流建築の亜種。実際は少し三角形なのですが、頂点の部屋の住人はたまったものじゃないはずです。
お次は少し趣向を変えて。四角錐状になった宝形造(ほうぎょうづくり)の屋根を持つ塔、中国を髣髴(ほうふつ)とさせる透かし入りの壁など、まさに寺院建築の特徴を余すことなく伝えるこの建物(写真5)。しかし塔の上には十字架が、本堂の壁にはマリア様が!
中国文化と西欧文化が溶け合う様に、これもありか、と思わずにはいられないデザインなのです。
(写真1)
台風がきたらすぐに倒壊してしまいそうなホテルでの宿泊は、きっとスリル満点。成金趣味が爆発している外観も、ちょっとリッチな気分にさせてくれます。
(2)
あの厚みがベランダで、廊下もあるはずだから、部屋はいったい…と、内部を想像しながら眺めましょう。
(3)
「うなぎの寝床」住宅建設中の図。「新興住宅地に1番乗り!」の勢いあまってか、孤立無援の状態が寂しい。隣に新たに家が建つことを予想して、側面に窓がないのもベトナム流…。ちなみにタテ長を好むのは、敷地面積だけでなく、間口の広さでも税金が変わるためだとか。
(4)
マンションついでにもう1軒。一見ひと棟の建物に見えますが、実は右と左部分は別。階の高さも違えば、窓も違う。ただし1階がつながっていたり、屋上を増築していたりと共につぎはぎ感抜群です
(5)
ベトナム北部ニンビン(Ninh Binh)省にあるファットジェム(Phat Diem)教会を皮切りに、東西が混合された建築様式の教会は、実は結構多くあります |