DEEP VIETNAM
20年間だけ存在した幻の町を訪ねて
バックマー高原

落差300メートルという豪快な滝 　もう1つは、体力的にややハードだが、落差300メートルに及ぶというロドデンドロン滝を訪れるコースだ。バックマーゲストハウスから、今度は山道を1.5キロ下ったところに、滝へのトレイルの入り口がある。「滝までは行きが30分、帰りが40分」という案内板を見て滝へ。山道のすぐ横を清流が流れ、その水音が涼しい。 　しかし、30分かかってたどり着くのは滝の一番上。滝の全貌を眺めるためには、そこから690段の階段を降りることになる。案内板には「健康で体力に自信のある人のみ挑戦してください。所要時間は最短60分」と書いてあるが、まさにその通り。階段は一段一段の段差が大きく、手すりにつかまらないと危なくて下れないところも多々。しかし、ロドデンドロン滝は、それだけの苦労をする甲斐があるくらい、見ごたえがある。この水は、やがてフエのフォン川に流れ込むのだという。

上から順に）のような丸太橋も何箇所かあり、足元は滑りやすい。ちゃんとしたトレッキング用の靴が必要だ。・滝に向かう小径は、渓流沿いに伸びておりひんやりとしている。

エコツーリズム公園としての豊かな可能性 　高原にかつて建ち並んだヴィラは、所々にその残骸を見ることができるのみ。しかしそんな過去に引きずられることなく、エコーツーリズムの舞台として、バックマーは新しい歩みを始めている。 　1991年に国立公園に指定を受けた後、枯葉剤の被害を受けた森林の再生など、自然公園として整備が進められ、1998年3月からは観光客を受け入れるようになった。麓にあるビジターセンターでは、トレッキングコースの地図付ガイド、山上に生息する貴重な鳥類や草木類に関する詳しい資料などが英文で用意され、国外からの旅行者を受け入れる態勢も作られつつある。観光地としての整備は、まだ荒削りなバックマーだが、近い将来、きっと数多くの人が集う高原リゾートになるに違いにない。そう、70年前のように。

左上から順に）ロドデンドロン滝を上から見たところ・690段の階段を降りた終点から見た滝・1年を通して水量は豊かだと言う

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