見渡す限り緑一色の山の中に
時速20キロ出すのがようやくという急な山道を、ジープに揺られて登ること約40分。「本当にこの先に人の住めるところがあるんだろうか」と不安になるくらいの山奥に、バックマーはあった。人の気配はなく、まさにそこは忘れられた土地という雰囲気を漂わせていた。
そんなバックマーへやって来る旅行者の目的は、エコツーリズム。かつては、上流階級が贅を尽くした時間を過ごすためにやって来たこの土地だが、すべてが無に帰してしまった今、その豊かな自然を楽しむ場所として、かつてとは別の角度からの注目を集めつつあるのだ。
山頂の展望台で360度の大パノラマを!
高原内には4つのトレッキングコースが設けられている。もっとも手頃なのは標高1450メートルのバックマー高原の最高ピークまで往復する「サミットトレイル」。高原の一番入り口にあるバックマーゲストハウスから、簡易舗装の一本道をただひたすら登る。途中でバックマーを「発見」したフランス人・ジラード氏の名前を刻んだ石碑、彼が住んでいたヴィラの廃墟、かつてのヴィラを改装したホテル、今も営業しているバックマー郵便局などを見ながら、約1時間でモリンバックマーホテルに到着。ここがサミットトレイルの入り口になる。ジープでここまで連れてきてもらうことも可能。
そこから、石畳が敷かれた山道を登ること約30分で頂上に着く。頂上には展望台があり、そこからは360度のパノラマを堪能することができる。空気が澄んでいると、フエからハイヴァン峠まで続く海岸線が一望できるのだという。取材の際は、天気が今1つだったが、それでも山上から麓までの豪快な段差と、その向こうに海岸線を望むことができた。山頂近くには、元米軍のヘリコプター基地として使われた高台があり、そこからの展望も良い。 |