宝石がつくり出した町へ
「田んぼからキレイな石がみつかったぞ〜!!」
偶然発見されたひとつの石から、ウワサをいち早く聞きつけた宝石業者たちが開拓を進めた土地が、ハノイから車で約7時間のイエンバイ(Yen Bai)省ルックイエン(Luc Yen)。ハノイから車を走らせると、みるみる景色が変わり、いつしか道路は山道となり、藁葺き屋根の少数民族の家も見られるようになっていた。
ルックイエンは、もともとタイ(Tay)族、ザオ(Dao)族、ヌン(Nung)族などの少数民族が住み、農作を中心に生計を立てていた地域。しかし、11年ほど前に良質のルビー鉱床が発見され、急速に様変わりしたという。
街の中心には宝石専門の市場ができ、採掘された天然石をふんだんに使った宝石画が新たな芸術・特産品として発展。外国人宝石商が頻繁に訪れたり、他の鉱山で宝石採掘をしていたベトナム人業者で移住する者も現れた。
現在は、以前ほどの産出量はなく市場も縮小傾向にあるが、最盛期には5ヶ月で総量300万カラットのルビーとピンクサファイアの原石が採掘されたというこの町。今もなお良質なルビー、サファイアをはじめ、スピネル、水晶、まれにアクアマリンも採掘され、宝石の街としての名声はいまだ衰えていないようだ。 |