旅のクライマックス。
頂に広がるフオンティック（香跡）洞窟へ

	右中）長い年月をかけて育ってきた鍾乳石の傍らに備えられた祭壇

　ティエンチュウ寺をでると、そこからはひたすら山道が続く。道は舗装されておらず、がたがたの上、足元に埋まった石はつるつる。そんな山道を1時間ほど登ると、ようやくフオン寺一の見所である「フオンティック（Huong Tich／香跡）洞窟」にたどりついた。

　洞窟の入り口には急な階段があり、そこを下ると目の前に大きな鍾乳石。実はこの場所、なんと2000年以上前に発見され、1770年にはチンサム（Trinh Sam）という人物があまりの美しさに感動し、「南（ベトナム）の中で一番すばらしい場所」を意味する『南天第一』の文字を入口そばの左壁に書き記している。

　洞窟内にはさまざまな鍾乳石があり、中には平和と繁栄を祈る農民たちが、その形から「金の木」、「銀の木」、「水牛」、「男の子の山」、「女の子の山」などと名づけたものも。ちなみに、これらに触れると良いことがあるとされ、祈りをささげた後、この鍾乳石にそっと手を当てる人々もいた。

　そして、洞窟の一番奥には数多くの小さな仏像が安置され、人々は最後にここで神に祈りを捧げる。全ての場所を巡ると、少なくとも2〜3日はかかるというフオン寺。そして険しい山道を行くことで、より強くなる人々の願い。つまり、寺へと続く巡礼路もまた、この寺が聖地として人々の信仰を集めるゆえんでもあるのだ。

←前のページへ

スケッチトラベルで行く
お寺をトレッキングしながら参拝「香寺ツアー」

（2006年2月号／2006年2月17日 金曜日 9:04JST更新）