ハノイに壮大な王城跡が出現!
世界が注目する一大遺跡を巡る旅へ
ベトナムの重要な国家機関が集中するBa Dinh(バーディン)地区のHoang Dieu(ホアン・ジュウ)通りは、世界史上でも貴重といわれる古代の城跡が重層して残る、ワールドへリテージ・ゾーン。11世紀から19世紀まで、歴代ベトナム王朝の王宮があったとされ、更に最近の遺跡発掘調査では、7世紀に唐がベトナム支配のために現在のハノイに設置した安南都護府(中国・唐が周辺異民族の統治のために作った機関「都護府」の一つ)時代のものと思われる跡も確認された。安南都護府といえば、かの阿倍仲麻呂が760年頃に長官として2年間赴任したと言われる機関。緑がおおい茂る大樹が続く並木通りのこの場所を、阿倍仲麻呂もはるか昔に闊歩していた? なんて想いにふけりながら王城跡を見学できる、ハノイならではのウォーキングコース。あの「天の原、ふりさけ見れば…」も、もしかしてここで詠まれた!?
壮大なロマンが宿る、日越交流史
遣唐使として中国に派遣された阿部仲麻呂が、753年鑑真和尚らと一緒に日本に帰る船に乗り込んだ寧波付近で、古今和歌集に所収された有名な和歌「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に出でし月かも」を詠んだとされてきました。でも仲麻呂の船は、沖縄沖で難破しベトナムに漂着、また唐の都長安に戻ります。その後、仲麻呂が安南都護府長官に任命されるのですが、実際にベトナムに赴任してきたかどうかは定かではありません。しかし、あの有名な一句が中国でなく、ハノイで詠まれたと考えた方が納得のいく事が多いんです。もしこの発掘でみつかった木簡(薄い小木片に文字を書き記したもの)などから仲麻呂の存在が明らかになれば、日越交流史にとって、正に歴史的発見になる可能性もあり、壮大なロマンを感じますね。
ビジネスの傍ら、ベトナムの古文献保存活動を続けているハノイ西友代表:荒川研さん
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(2004年11月16日 9:58更新)
参考・協力:ハノイ在住考古学者西村昌也さん
ハノイ歴史研究会発行『歩こうハノイ』 |