＜第30回＞
ベトナムに多い子どもの下痢。
食事はどうすれば？

�@下痢とは？
　下痢は、便の水分量が増して泥状から水様になった状態をいい、多くの場合、排便回数も増えます。急性と慢性があり、急性下痢は感染性と非感染性に分けられます。感染性の下痢は、細菌やウイルス、原虫により起こり、感染性胃腸炎とよばれます。

�A下痢時の観察ポイント
　便の回数や量に加え、性状や粘液、血液の有無を観察してください。写真に撮って医師に見せるのもわかりやすい方法です。人間の体内水分量は成人では約60％ですが、幼児では70％、新生児では80％に及びます。また、小児は水分の生理的必要量が多いうえ、水分の確保が難しいため、下痢や嘔吐、発熱時の脱水症状に陥りやすいといえます。食欲と、食事や水分の摂取量、尿の回数にも注意しましょう。口唇や舌が乾燥していないか、機嫌の良さなども脱水の目安になりますのでよく観察してください。頻繁に下痢や嘔吐が続き、水分の摂取が進まない場合や、便に血液が混じっている場合等は早めに受診してください。

�B下痢時の食事
　症状が治まるまでは、冷たい飲み物や牛乳・乳製品、生野菜、酸味や繊維の多い果物、香辛料の強い食べ物、油物は避けましょう。下痢があっても吐き気がなければ、おかゆやフォー、バナナ、すりおろしたリンゴなどから徐々に開始してください。

�C水分と塩分、適度な糖分の摂取が大切！　1日に必要な水分量は体重10キロの子どもで約1リットル。下痢がひどく水分が多く失われている場合は、その分多く飲ませなければなりません。水分だけでなく電解質やカロリーを補うことも重要です。イオン飲料は薬局でも購入できます。また、水1リットルに対し砂糖約40グラム、塩約3グラムを加えたものでも代用できます。その他に、ニンジンやトマトを煮込み、薄い塩味をつけた野菜スープなども適しています。下痢があっても母乳は続けて下さい。人工ミルクは薄めすぎる必要はないですが、経口補液を併用するようにしましょう。

（2008年9月号 | 2008年9月17日 水曜日 18:08 JST更新）