＜第16回＞
食中毒。雨季には特に気をつけて！

�@「食中毒」って何？
　 細菌やウイルスなどに汚染された水や食品から感染する胃腸炎です。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、血便などのお腹の症状のほか、発熱、頭痛、関節痛、脱水による体のだるさなど、全身の症状が見られます。海外生活や旅行中の食中毒は、特に旅行者下痢症（Travelers' Diarrhea）と呼ばれます。

�A食中毒の原因は？
　赤痢菌、大腸菌、サルモネラ菌などの細菌、ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス、アメーバ赤痢やジアルジアなどの寄生虫と原因は様々です。必要に応じて便検査を行いますが、実際に原因となった食品や病原菌を特定できることはまれで、原因を症状から予測することも容易ではありません。症状が出るまでの潜伏期も、3
時間から10日程度まで原因菌によりかなりの違いがあります。

（注）赤痢とは、下痢・腹痛・血便などを伴う感染性腸炎。原因には、細菌とアメーバの2種類があります。「赤痢」とは細菌性赤痢をさすことが多いのですが、感染性胃腸炎の原因としてはアメーバ赤痢（細菌ではなく寄生虫）のほうが多く認められます。

�Bこんな時は医師に相談
　下痢やおう吐を繰り返すと、回数は少なくとも急激に脱水症状（体のだるさ、めまい等）を起こします。小児や高齢者は、重症になりやすいので注意が必要。普段健康な方でも、 (1).吐き気が強く水分が十分に取れない (2).腹痛・血便・発熱がある (3).症状が急激に悪化または持続する場合は、自宅で様子をみたり自己内服治療をしたりせず、早めに病院で受診する必要があります。

�C予防するには
　雨季は、湿度が上昇し食べ物も傷みやすく、細菌が繁殖しやすい時期。なま水、氷、生モノ（特にカキなど生の海産物）は、特に避ける必要があります。冷凍庫で細菌・ウイルスは殺せず、また冷蔵庫内でも細菌はゆっくり繁殖するため、調理後は早めに食べましょう。家庭では加熱・調理の前と後用に、はし・まな板・包丁などを2組用意して使い分けたほうが安全です。

（2007年7月号／2007年7月6日 金曜日 10:37 JST更新）