＜第11回＞
「デング熱」に要注意！

�@「デング熱」と「デング出血熱」
　デング熱とは、デングウイルスを持つ蚊に刺されて起こる感染症です。3〜14日の潜伏期の後、発熱・頭痛・筋肉痛・関節痛・眼痛・発疹などで発症します。

　デング熱自体で死に至ることは非常にまれですが、デング出血熱へ進行すると死亡率は10％以上となります。デング出血熱は、出血傾向（皮膚の出血班・血便・鼻出血・歯肉出血・血小板減少）が進み、血圧も下がりやすくなる危険な状態です。なおデングウイルスは、ヒトからヒトへの直接感染はありません。

�A診断方法
　主に血液中のデングウイルス抗体を調べます。ただし、この抗体は発症後、5日程度経過しなければ検出されないため、発症直後は症状、皮膚の発疹・出血班、血小板の減少等を見て診断します。デング出血熱の場合は、胸腹水（胸や腹部に水分が漏れ出している状態）や、赤血球成分の濃度上昇などを見ることで診断します。

�Bデング熱は薬で治る？
　デングウイルスに直接効果のある治療薬・予防薬は現在ありません。そのため頭痛・発熱などの症状に対する治療が中心となります。食欲がなく脱水傾向にある場合は、輸液のため入院する必要もあります。デング出血熱の状態になると、輸血や全身管理のため集中治療が必要となります。

　残念ながら、このウイルスに対する予防接種は未だ開発段階です。蚊に刺されないようにすることが、最大の予防策なのです。

�Cデング熱にかからないためには
　デング熱を媒介する蚊は主に日中に活動するため、昼でも長袖・長ズボンを着用し肌の露出を避けること。また屋外では、虫除けスプレーなどの使用が必要です。屋内では蚊取り線香、場合により蚊帳を使用してください。

　重症化することはそれほど多くないデング熱ですが、以前かかったことのある方が再度感染すると症状も重くなるため、とにかく蚊に刺されないようにすることが最も重要となります。

（2007年1月号／2007年1月19日 金曜日 12:12JST更新）