＜第1回＞
寄生虫「アメーバ赤痢」にご注意！

�@感染経路
　多くの寄生虫の中でも、ベトナムでかかりやすいのが赤痢アメーバ。亜熱帯、熱帯地方で人口過密、栄養状態が良好でなく、衛生状態（とくに下水設備）が整っていない環境では、赤痢アメーバの生息率が上昇するのです。アメーバ赤痢は、「赤痢アメーバ原虫」の胞子が口に入った場合に感染（糞口感染）します。具体的には、原虫の胞子が含まれる食べ物や飲み物を摂取したり、食品を扱う人の手にその胞子がついていたりした場合などです。

�A症状、症状を認めるまでの期間
　赤痢アメーバは下痢を主症状とし、血便を自覚することが多いです。潜伏期間は下痢が急性か、慢性かによっても違いがあります。ある患者さんは急激にひどい下痢を8日前から認め、検査したところ赤痢アメーバが検出されました。（普通なら2〜4週間）

　また赤痢アメーバの怖いところは、放置しておくと肝臓に影響を起こすこと。ある人は、ほとんど症状がなく、数年後に他の症状を認めたため検査したところ、肝膿瘍が発見されました。

�B病院での処置
　便検査を行い、時に血液検査を行います。赤痢アメーバの場合、1回の便検査で検出されず3回目、4回目で検出される患者さんもいらっしゃいます。基本的には3回の便検査が推奨されます。（1回目で検出された場合を除く）。赤痢アメーバが検出された場合、それに関して2種類の薬服用が必要となります。

�C予防するために
*清潔な水を使用する。
*排泄物の処理をきっちりする。
*調理を十分にし、ハエなどによる汚染がないようにする。
*排便の後、調理の前、食事の前には手洗いをする。
*感染が流行している地域では生もの、皮のむいた果物などは食べない。

（2006年3月号／2006年3月30日 木曜日 8:14JST更新）