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今回の訪問先、ベトナム料理店としてはとても珍しい立地である。岐阜県の中津川、山の中へとドライブを楽しみながら、私はその店に向かった。畑の中を通り抜けると、かわいらしい山小屋風の建物を発見。まさかここがベトナム料理店だなんて、誰も想像がつかないだろう…。 「ごはんをお茶碗に取り分けて、おかずはお茶碗をそのまま取り皿にして、お召し上がり下さい」 ランチタイムのお客へベトナム流のごはんの食べ方を説明しているのは、「コムコムゴーン/Com Com Ngon」店主の三木泰洋さん。「Com=ごはん、Ngon=おいしい」の名の通り、ベトナムの主食である白いごはんと一緒に食べる「おかず」を中心とした、少しマニアックな店だ。私はこのようなベトナム料理が1番好きなのだが、車でないと来られないこの土地で集客ができるのだろうか…と、失礼ながら心配になってしまった。 しかし取材中にも何度か電話が鳴り、そしてお客が現れた。 「○○さんから教えてもらったの」と、ほとんどのお客は口コミでやって来る。 「お客さんのほとんどは一度もベトナム料理を食べた事のない人ばかり。生春巻きやフォー(Pho)さえ知らないことも珍しくない。だからこそ先入観もなく、このような家庭料理でもおいしいと受け入れてくれるのでしょう」と三木さんは語る。 ランチタイムは、土地の野菜をたっぷり使ったおかずとごはんのセット。そして地元で取れる青唐辛子「あじめ胡椒」をすりつぶして作るカレーの2品のみで、夜はおまかせか要予約のコースメニューとなっている。とはいえ、大半のお客が電話をしてから来店するため、食べたいものを事前に聞き、用意するという。 かくいう私もせっかくきたので、いろいろと味わってみたが、どれも地元の野菜が上手に生かされていた。ハーブは店の庭で育て、野菜は近所の直売所で買う。その日1番の食材を使うため、メニューが日替わりになるのも当然というわけだ。 ベトナム料理と言っても、本場でさえ人の数だけ味やスタイルが存在する上、さらにそれを作る日本人の解釈や取り入れ方も、やはり人の数だけ存在する。これと決めつけずに、それらを楽しむことは実に楽しいことだと、私は最近この仕事をしていて感じている。 また三木さんの料理センス、そして何より心使いに感激した。「ベトナムではこう…」と凝り固まらず、土地の野菜や肉のおいしさを生かすよう、柔軟なベトナム料理感で作られた料理の数々。「ベトナム料理だから…」ではなく、「おいしい」という点で、お客の心を確実に捉えるのであろう。そしてこのロケーションもまた、彼の料理感に上手くマッチしている。 このようなお店の登場に、わざわざ車を出して訪れた甲斐があったと、胃袋も心もしっかり満たされたのだった。 <RESTAURANT DATA> 【忍さんのひとくちコメント】 文=伊藤忍(ベトナム料理研究家) (2008年7月号/2008年5月16日 金曜日 10:57 JST更新) |
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