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今回は、13年前に私が生まれて初めてベトナム料理を食べた、思い出の店を訪ねた。渋谷周辺は店の入れ代わりが激しい激戦区だが、ここで25年も前から営業しているというから本当に驚く。 開店当初からこの店を今も変らず守り続けているのは、1968年に留学生として日本にやって来たキエット(Kiet)さん。日本の大学を卒業した後そのまま日本に残り、サラリーマンとして企業で働きながらこの店を立ち上げたのだった。 「当時の日本人にとってベトナムは『戦争』というイメージ一色でした。戦争をしている国の文化なんかに注目する人は全くいなくて。でもだからこそ、ベトナムの素晴らしい文化を日本人にアピール、宣伝したいと思い、この店を立ち上げたのです。ベトナム料理と言えば、昔から欧米人、とりわけフランス人に評判が良く、とても高く評価されていました。私が日本に来てからは時々しかベトナム料理を食べることはありませんでしたが、やはり食べると『ベトナム料理は本当に素晴らしい』とレベルの高さを実感していましたね」と彼は語る。 しかし当時、『ベトナム戦争』のイメージは非常に厄介なものだった。少し前まで戦争をしていた国の料理を『おいしいはずがない』と決め付ける人が多く、オープン当初はかなり苦戦を強いられたのだ。 「最初はお客さんもまばらで、お金を儲けるには程遠く、とにかく継続できればよいという感じでしたよ」とキエットさん。 しかし、彼の店で初めてベトナム料理を食べた人はそのおいしさに感激し、口コミで客数はどんどん増えていった。そしてその評判は、日本全国に伝わるまでとなったのだ。 「当時はまだ日本にベトナム料理店は少なかったので、北海道や九州から食べに来るお客さんもいましたよ」と、誇らしげに語ってくれた。 料理を担当しているのは奥さんのホア(Hoa)さん。ベトナム中部の街・フエ(Hue)出身の彼女が作るフエ風米麺「ブンボーフエ/Bun Bo Hue」は、同店の人気メニューでもある。具材の牛のテールとスネ肉はとろける程に煮込まれてあり、本場フエで食べるのと同様に、澄んだスープには、この料理に欠かせないレモングラスの香りがしっかりと効いていた。 ベトナム料理に誰も注目しない時代から、流行などに惑わされずにその素晴らしさを信じて今まで続けてきた彼ら。13年前にこの店に来ていなければ、今の私はなかったのだろうな…と、この店の存在に感謝をした。 <RESTAURANT DATA> 【忍さんのひとくちコメント】 文=伊藤忍(ベトナム料理研究家) (2007年10月号 | 2007年10月16日 火曜日 10:44 JST更新) |
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