ベトナム旅行に行く前にちょっとみるベトナム情報サイト | ベトナム旅行手配 | 空港 | ベトナム地図 | ベトナムディレクトリ | |
|
||||||||||||||||||||||
|
|
この店のオーナー矢野典子さんと知り合ったのは私がベトナムに在住している時。当時私が住んでいた家の大家さんが経営するミニホテルを彼女は年に何度も訪れていた。いつもたくさんの荷物を持ってホテルに戻って来たと思えば急いで出かけ、また、ホテルのマダムに頼んで「○○が習いたいから」と言っては専門の人を探してもらったりしていた。「研究熱心な人だな」と思っていたら、実は神戸でベトナム料理店をしていると聞いた。毎回滞在が短いのにあちこち走り回っているパワフルな彼女を見ていて、「彼女のお店に行ってみたい」とずっと思っていたのだった。 彼女が「SOUP」をオープンしたのは9年前。以前からアジアが好きで、自分の店でアジア料理を出そうと決めていたものの、よく通っていたタイ、インドネシアの料理だけではいまいち踏ん切りがつかなかったという。そこでベトナムを訪れてみたところ、「これをやるしかない、絶対にこれだ。タイやインドネシアにはない何かをベトナム料理に感じてしまった」という。そして飛び込むような気持ちでベトナム料理中心の店をオープンした。当時は今とは別の場所で、20席しかない小さな店だった。 「四苦八苦しながら1年半が過ぎたのですが、いくら努力しても経営は上手く行かず、体力的にも限界を感じました。『もう無理だ、店をたたもう』と決め、気持ちの整理のためにベトナムに行ったのです。でも、そこでまたおいしいベトナム料理を食べたら何だか元気になってきて…。『やっぱりベトナム料理はいける』と思い、もう一度がんばってみようと思い直したのです」と彼女は語ってくれた。 その後は雑誌の取材なども増え、お店の存在が地元の人に広く知られるようになった。またさらに幸運は続き、今まで地下にあった店を1階の路面店に移転できることになり、現在、店は順調に回っているという。 新しい店ではスペースが広くなったこともあり、他のアジアの国々の料理など、メニューもさらに豊富になった。彼女が自分の足でベトナムに出向き習得した、かつての人気メニューももちろん健在だ。 私が店を訪れた時、彼女は常連客と楽しそうにカウンターで話をしていた。料理だけでなくお客さんとのコミュニケーションを大切にする彼女の人柄に魅かれて店を訪れる人も多いのだろう。
【忍さんのひとくちコメント】 文=伊藤忍(ベトナム料理研究家) 写真=小山 泰雅 (2006年7月号/2006年7月11日 火曜日 10:57JST更新) |
|
Powered by |