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今回の訪問先は、約4年前に私がベトナムで出会った青年のお店。彼は、私が働いていたホーチミン市にあるカフェが主催する、ベトナム料理教室の受講者だった。そして「日本でベトナムのような生麺のフォーを出す店をやるのです」と言い残し、彼は日本へと戻って行った。 高円寺の北口、八百屋の横の細い路地を入ると、ベトナムへ迷い込んだかと錯覚するような市場がある。そして、その中に、茂木貴彦さんが経営する「チョップスティックス」はあった。カウンターと少しばかりのテーブルが並ぶ本当に小さな店。「生麺のおいしさを味わって頂くには、このぐらいの広さが丁度いいのです」との彼の言葉に、ゆでたての生麺とアツアツのスープを一番おいしい状態で提供したいというこだわりが見えた。 茂木さんは、この店の立ち上げの際「麺好きの日本人が納得する、現地よりもおいしいフォーを作りたい」と思ったという。そして、「フォーをラーメンの存在を越えるものにしたい」と、そのライバルはベトナム料理店ではなく、麺を提供する全ての店であった。 通常日本で出されるフォーは乾麺が使われているが、ベトナムでは生麺が普通。そこで麺好きの日本人を唸らせるには生麺が不可欠と、製麺業者と共同で麺の開発が始まった。しかし米粉を水で溶いた生地を薄く広げ、それを蒸してから切るベトナム式製麺法ではコスト面で無理な上、保存が利かない。そこで試行錯誤の末出来上がったのが、米粉を練った生地を製麺しておき、最後にオーダーに応じて茹でるもの。保存がきく上、原料に日本の米を使ったため、ベトナムのフォーにはないモチモチとしたコシのある麺となった。 そして次はスープの開発。ベトナムのものより主張の強いその麺は、現地と同じスープではマッチしない。そこでベトナム料理だけでなく、ラーメン屋や他の外国料理のスープも参考にしたオリジナルスープを誕生させた。ベトナムで多く使われている化学調味料は一切使わず、大山地鶏、香味野菜やスパイス、さらに昆布を加えた旨味の深いスープだ。 「えっ、日本の米で作ったフォー? 昆布の入ったスープ?」と、私も驚いた茂木さんのフォー。だが、半信半疑で食べてみると「こういうフォーがあっていいかも」と納得してしまうおいしさ。ベトナムのフォーも大好きな私だが、「その土地や気候に合うおいしさがある」、この店のこだわりの麺とスープのフォーを食べるとそんなことを感じてしまうのだ。 <RESTAURANT DATA>
【忍さんのひとくちコメント】 文=伊藤忍(ベトナム料理研究家) (2005年9月21日 水曜日 8:32JST更新) |
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