ベトナム雑貨よもやま話
たんの君のその後(従業員編)
前回に続き今回も雑貨の話はお休みし、謎の日本人アルバイト「たんの君」について書きます。謎の日本人アルバイト「たんの君」も仕事に慣れ、半人前位に使えるようになってきた。しかし、やっぱりいろいろとヘマもやってくれる。
反省のないセクハラ行為
先日、新人ベトナム人女性スタッフより相談を受けた。「たんのさんが私の体を触るんです。気持ち悪いんで注意して下さい。」え〜、端的に言えばセクハラじゃないか! 早速、たんの君を呼んで何があったか聞いてみた。たんの君曰く「いや〜、彼女は僕に気があるみたいなんで触ってやったんですよ。何にも言わなかったからきっと僕の事が好きなんですよ。いいじゃないですか。」開いた口がふさがらなかった。もちろん私は注意したが、帰ってきた言葉は「いや〜、彼女は大丈夫。心配しないでください。でもこの前のB子ちゃんは大変だった。僕の事を殴り返してきたんです。」私「え〜、別の店員にもやってるのか!」たんの君「大体全員触ってみましたけど、怒らないのはAちゃんとHちゃんとFちゃんでした。」ちょっと待て! もう話が分からなくなってきた。僕は怒ろうと言う気持ちより、彼のあまりにも自己中心的な考え方にあきれるばかりだった。それからしばらくセクハラはしなくなったが、どうして自分が怒られたのかまだのみこめていないようだった。
漢字が書けない! カタカナを間違える!
そんなたんの君にベトナム語を教えていて気が付いた事がある。彼は漢字が書けないのだ。時々カタカナも間違える。先日、お客様に買って頂いた商品の発送伝票を見てびっくりした。「黒」という字の縦線が2本あったのだ。また、旅行会社の添乗員さんの事を「天丼員」と書いたり! さらに先日、事務所の入り口に張ってあった、たんの君の自筆行動予定表を見て驚いた。「日曜日はソホトボールに行きます」、「お客様にイミテーションを配る」。え〜?「ソホトボール」じゃなくて「ソフトボール」でしょ。「イミテーション」じゃなくて「インビテーション」でしょ。書ききれない程の謎を秘めた彼。今も僕の目の前にいるのだが、僕が彼の事を書いている事に全く気付いていないようだ。
それでももう少し見守ってあげたい
ただ、今月はたんの君を褒めてあげる材料がひとつある。ベトナム語のメニューテストで60点を取ったのだ。いままでベトナム語のべの字も知らなかった彼が、勉強してここまで出来たのはスゴイ。彼はやれば出来ない人間じゃないのだ。今まで勉強する事を避けてきただけで、26歳になって初めて勉強の楽しみを覚え、がむしゃらに頑張っている。そんな彼をもう少し見守ってあげたいと思う。
最後に彼を入部させていただいたハノイのソフトボールチームの皆様、監督。こんな彼をビシビシ鍛えて一人前の日本人になれるよう、ご指導のほど宜しくお願い致します。
文=八木 伸樹
(ベトナムスケッチ2003年11月号) |